春・夏・秋・冬

 スポーツが政治の壁を越えるということは、ごく当たり前のようにいわれてきたことである。先日、都内で開かれた朝・日体育人の新春懇談会には、そのことを証明するかのように日本オリンピック委員会、サッカー協会など双方の関係者180余人が参加し交流を深めた

▼スポーツの世界での最大のイベントは4年に1度のオリンピックである。フランスのクーベルタンの提唱によって始まったが、その憲章には地球上5大陸の人々が人種の違い、それぞれの政治理念を乗り越えて、世界平和という一点のために交流し親善、親ぼくを深めるということが明記されている

▼ところが周知のように、アジア、アフリカ諸国を中心に非同盟運動が活発だった60、70年代はまだ目に付くことも少なかったが、冷戦の激化に伴いオリンピックはいつのまにかその気高い理念とは裏腹に、政治にほんろうされてしまうことになった。その張本人は米国である。「アフガニスタン侵攻」を口実に、ソ連・モスクワオリンピックをボイコットした事件は象徴的だ

▼ソルトレークで始まった冬季オリンピック、指摘するまでもなく政治臭がプンプンとする。入場式に米国選手団は、昨年9.11事件の現場から発見された星条旗を、これみよがしに掲げて行進した。そして、ブッシュ大統領は開会宣言の代わりに「誇り高く決意に満ちた偉大な国を代表して」と叫んだ

▼オリンピックは一国のセレモニー?と勘違いしてしまいそうだが、冒頭で紹介したように、現場のスポーツマンシップは健在である。大事にしていきたい。(彦)

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