「その人を思う気持ちが福祉」

名古屋 介護ショップ・ニシキ


 名古屋から地下鉄を乗り継ぐこと約40分。地下鉄原駅から車で数分行くと、ケアショップニシキにたどり着く。介護用品が所狭しと並べられている事務所で、代表の趙一来さん(44)が従兄弟で社長の趙浩一さん(39)とともにテキパキと仕事をこなしていた。

 おもな業務は、高齢者や身障者の生活を支援するための福祉用品の販売と貸し出し。杖や車椅子、電動ベッド、床ずれ防止のマットなど商品はさまざまだ。

 介護事業を始めて7年。2年前に介護保険制度がスタートして参入業者が増えた今も、県内でトップクラスの業績を上げている。

 年をとり、体が不自由になっても住み慣れた家で生活を続けたいと思う人は多い。その願いを叶えるため、住宅のリフォームも手がける。手すりをつけたり、床の段差をなくしたり、シャワーをレバー式に変えるなど高齢者や身障者にとって「バリア」だらけの住まいを心地よいものに改造する。

 先代から受け継いだ家具の製造、販売が頭打ちになり、将来性があると見込んで参入した介護事業。やるからには地域に根差した福祉に寄与できる事業にしようと、高齢者の家や施設を訪ね歩くことから始めた。そこで見えてきたのは、孤独に打ちひしがれる高齢者の姿だった。

 「同じ話を何度も繰り返す。話を聞いてほしいと強く望んでいた」(浩一さん)

 このとき学んだ「利用者の立場」が経営理念として生かされている。

 最近は住宅のリフォームに関する相談が多い。

 メインになるのが入浴と排泄、外出をスムーズにするための改造、改築。経済事情はさまざまだが、利用者の思いを最優先に考え、目一杯の提案をする。その時にかいまみえるのが、「高齢者と家族」の関係だ。

 「家族が高齢者の余生をどう考えるかで選択はまったく変わる。思いが深ければ深いほど福祉は充実する」と一来さんは言う。

 だからこそ目上の人を大事にする同胞社会の伝統は、高齢化社会を充実させる大事な要素だと思っている。

 一来さんは、愛知同胞福祉連絡会のメンバーとして地域の同胞社会にも貢献している。1世の生活実態を調べたり、愛知朝高生徒たちを対象に講演を行うなど精力的だ。

 同胞高齢者の中には介護保険の認定すら受けていない人も多い。保険料を捻出できない無年金状態の同胞もいる。課題は山積しているが、若い同胞の中で福祉への関心が高まっていることに希望を感じている。

 潟Pアショップニシキ(介護保険指定事業者) 名古屋市天白区池場4―201 TEL 052・802・2661(代) 営業時間10時〜19時 定休日 日曜

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