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米大統領の一般教書演説は、日本でいえば首相の施政方針演説、朝鮮では3紙共同社説を意味する。その年1年間、どのような方針のもとで政治を行っていくのかを表明する、重要な演説である
▼ブッシュ大統領は先日のその演説の中で「北朝鮮、イラク、イラン」を「悪の枢軸」と呼んだ。「枢軸」とは「物の中心の核」ということ。つまり彼によると、3国は「悪の核心」を成しているというのだ ▼ブッシュ政権は、11世紀に始まる十字軍を気取って国際社会で「反米狩り」に精を出していることを隠さない。昨年9月11日のニューヨークでの事件以降は、さらに拍車がかかった。人を人と思わぬごう慢さ ▼その十字軍といえば、夜討ち・強盗・山賊を生活の糧としたブラバント団やアラゴン団などの傭兵騎士団が主力を成した。というのも、一般市民たちは家業、家族を犠牲にしてまでその必要性に駆られなかったからである。その悪行の数々から、欧州諸地域で鼻つまみ者になっていた傭兵たちだが、十字軍に加わることによってローマ教皇から「神の戦士」の御墨付きをえ、恐れるものはなに一つなく、遠征先のアラビア半島に至る各地で思う存分、夜討ち・強盗に明け暮れた ▼ブッシュ政権はアフガニスタンの次はイラク、ソマリア、いやフィリピン、インドネシアのイスラム原理勢力攻撃だと公言。さらに冒頭の発言である。「アラファトを殺しておけばよかった」と悔しがり、当たり前のようにパレスチナの殺りく作戦を進めるイスラエル・シャロン政権とがっちり肩を組む。まさに十字軍だ。(彦) |