みんなの健康Q&A
急性肝炎(下)−予防と治療
B型急性肝炎、変化する感染の原因
ワクチン療法で感染を予防
Q
急性肝炎の予防方法について教えてください。
A 原因別に考えてみましょう。 日本国内ではA型ウイルスの肝炎は20歳代から40歳代にかけて多く、一度感染したらその後は免疫を獲得し、発病しないとされています。冷凍してない新鮮な貝類を沢山食べてA型ウイルスに感染する事があります。私が拝見した患者さんには、カキ、ツブ、ホヤ、ホタテなどを食べて2〜6週後に発病した方がおられます。A型肝炎ウイルスは便に排泄され口から感染するため、食事前によく手を洗う習慣を身に付けることは意味のある事だと考えます。 B型、C型ウイルスは、以前は輸血で急性肝炎を起こす事が多かったのですが、現在はそのような例はほとんどありません。また、B、C型肝炎ウイルスは、妊娠、出産の際に母親から赤ん坊へ感染し、肝炎の原因になる事が知られています。しかし、B型ウイルスは、出産時の母子間感染が予防可能となってからは新生児の感染が激減しました。一方、最近はセックスで感染したと思われるB型急性肝炎が目につきます(図)。性行為に関連する感染症としてはエイズ(AIDS)が有名ですが、B型急性肝炎も不特定な相手との性行為によって広がる可能性の高い病気であるといえます。しかし、特定のパートナーがB型ウイルスに感染している場合はワクチン療法を受けることで感染予防が可能です。普通は月に1度ワクチンを注射し、2カ月間治療するのですが、約70%の方で血液中にHBs抗体が出現し、B型ウイルスに感染しなくなります。費用は実費で1回3千円前後です。最寄りの医療機関へ遠慮なく御相談下さい。また、B、C型はエイズ同様に、1本の注射針で何人も注射をする事、入れ墨などの器具の消毒不十分などで感染することも知られています。 EBウイルスは唾液などを通じて感染し、風邪のような症状で発病するのですが、今のところ特定の予防方法はないと言えます。 薬による急性肝炎は服薬後に適切な血液検査を行い、早期に診断することが大切です。尿の色が濃い、体がだるいなどの症状があれば、早めに受診し、調べる必要があります。また、決められた量より多めに薬を飲むことはこの点からも避けるべきでしょう。 Q 急性肝炎の治療法について教えてください。 A 一般的には重症化するかどうかを慎重に観察しながら対症療法を行います。重症化する場合は原因に応じた種々の治療も必要になります。 急性肝炎は、風邪に似た症状と肝機能検査の異常で容易に診断出来ます。診療を始め重症化しないことが確かめられたなら、そのほとんどが早期に回復する病気です。症状がある方は気軽に診察を受けていただきたいと思います。 図 B型肝炎(24症例)発症の背景(1997.1−2001.9)
|