利益生む台を判別!?
パチンコ業界の近況
パチンコ業界は、バブル経済に踊った80年代後半には「年間30兆円産業」とまで言われたが、今は不況による景気低迷などの影響によってか、ファンが減少し続け「20兆円」水準にまで後退。業界ではまさに、「生き残り」をかけたさまざまな戦略がとられている。顧客満足度(CS)調査によって得られた結果に基づき、業績を伸ばすシステムもそのひとつ。「長年の経験とノウハウを生かして調査・分析した結果、データとデータの間に粗利と稼動を左右する動きの要素がいくつかあることが判明した。これによって粗利向上、コスト削減、稼働率アップにつなげることが可能」と指摘するのは、データを分析した小松秀樹氏。同氏は300を超える企業や自治体などのサービス分野に対する顧客満足度を指標にして、市場や地域の活性化をデータサイエンスで支援している特定非営利活動法人「ビュー・コミュニケーションズ」の副理事長である。分析結果を参考に、その展望などについて見た。
台にも個性ある 同氏の分析結果を大前提に述べると、まず、ホールの売上・粗利は、パチンコ台・スロット内のロムに支配されていると言える。そのうえでポイントをまとめると、1点目は、大当たりの周期はあるが、台ごとにすべて異なるということだ。 ゲージ(釘)を開けばスタート数も増えるが、スタート数が増えたからといって必ずしも大当たりも増えるわけではない。玉の出る周期があるからだ。 そこで、約200台の各種機種のデータを90日間にわたって収集し、台ごとに周期を計算したところ、機種タイプやメーカー別に類似する周期はまったく抽出されなかった。しかも、玉の出る周期が3日から120日といったように、台ごとにバラツキがあることが判明した。台ごとに個性があるわけだ。 周期は、例えば分単位でデータをとることができれば、何日の何時ごろに「出る」という予測を立てることも理論上は可能だ。ただそこまで店側が知っているとなると、違法機種を使用しているのかと疑われる可能性もあるので、資料の提示は時間までは示さず、「特賞率の高い日」(1日当りの大当たり延回数/総スタート回数)だけを明らかにすることにしている。 「出る日」がわかれば、事前にその台を告知することも可能であり、これを「カレンダー」として表すこともできる。 A社で改善効果 2点目は、周期のパターン(30日分で可能)を分析=「高粗利・高稼動」「高粗利・低稼動」「低粗利・高稼動」「低粗利・低稼動」の4領域に区分すれば、台が粗利も稼動も下がる「撤去推奨台」なのか、あるいは「要注意台」、「無警告台」なのかを明らかにすることもできる。 ちなみにA社で8月、赤字台7台を撤去し、同機種の新台および旧台に入れ替えた結果、その後の30日間で粗利が200万3190円に、稼動はプラス114万1140円に転じるという改善効果が見られた。 ゲージの管理も 3点目は、ゲージコントロールと粗利(稼動)との関係。日々のデータを見た場合、同一ゲージ幅の複数日の「平均」に相関性が観測されたが、ほとんどは相関性がないこともわかった。 結論から言って、ゲージは1〜2週間程度固定すれば、相関性を上手に管理できるようになる。また調整も100分の1ミリ単位よりも10分の1ミリ単位の方が管理しやすいようだ。 ◇ ◇ 小松氏の分析結果は、パーラー経営者によって組織された共同体で、経営コンサルティングなどを行っている「アミュゼクス・アライアンス」(東京・新宿)の定例フォーラム(10月末開催)で発言した内容。なおこのシステムは、各店舗の要望を取り入れ開発している。詳細は「アミュゼクス・アライアンス」(TEL 03・5206・6810、ホームページ=http://www.amuse-x.jp)まで。(羅基哲記者) |