おぎオンマの子育て日記

それぞれの発音


 サンホがうれしそうに駆けよる。「見て」と両手の人差し指を交差させてつきだし、「バチュ」。バツのことだ。サンホの「ツ」と「ス」はともに「チュ」である。「バチュはバチュでも、観光バチュじゃないで」と続いたので、驚いた。「バツ」と「バス」を聞き違えることも、混同することもない。自分の発した言葉を、客観的に聞いているのだ。「サンホとサンホが話してる」と、時々言うが、そういうことだったのか。

 チユニが食卓で宿題をしていた。首尾よく宿題を終えて興に乗ったチユニは、連絡帳の裏表紙に載っているお話を、音読し始めた。「うさぎとかめ」の競走の話だ。流し台に向かっていた私は、思わず振り返った。「なんだか、変だよ」というと、チユニはそんなことはないというので、私がまねて読んだ。「うさぎとおおかめ」。「お」のところで声が高くなり、はりきればはりきるほど、「お」の数が増えるのだ。「ヌナ、オオカメちがうやろ。オオカミやんか」のサンホの一言で、笑いころげている。授業で、先生のあとについて唱和するときに、みんなで声をそろえようとしているうちについた癖だ。なんだか残念だ。

 子供たちには、日本式に読めない名前をつけた。この国で、何度となく、自分について説明しなければならない機会に出会うだろう。読み聞き省察し表現する。時には傷つくこともあり、いやされることもある。言葉によるところが大きい。それはすでに始まっている。一つひとつの課題が目的を侵すことのないように、配慮してもらいたい。

 ミリョンが、オンマとマンマを言うようになった。前者は「ンマー、ンマー」で、後者は「ンマンマンマンマ」と、何かが口に入るまで続く。ともに、彼女のライフラインである。

アッパのひとこと

消費税に腹が立つ

 消費税には腹が立つ。お菓子を買いに行きチユニにお金を払わせた。お釣りはいくらか算数教育の一環だ。だが消費税が登場すると親の思惑は台無し。たかだかお菓子を買うのに掛け算、切り捨てが必要で、大人でも戸惑う。消費税反対!

日本語版TOPページ