開城工業地区 通関に関する合意書


 北南経済協力推進委員会第3回会議の合意に沿って、6〜8日まで金剛山で行われた開城工業地区建設のための実務接触で採択された通関に関する合意書の全文はつぎのとおり。

 北と南(以下「双方」)は開城工業地区(以下「工業地区」)での搬出入物資と郵便物、通行車両および人員の携帯品に対する通関を円滑にするため、次のように合意する。

 第1条 定義

 1、「物資」とは、工業地区建設と管理運営、工業地区内の投資企業(以下「企業」)の生産と経営、常駐人員の日常生活に必要な物品のことをいう。
 2、「搬入」とは、双方が合意して定めた出入経路に沿って、工業地区に物資を搬入することであり、「搬出」とは工業地区から搬出することを指す。
 3、「通行車両」とは、工業地区の搬出入物資、人員などを輸送したり、工業地区の建設と管理運営のために出入する各種車両のことを指す。

 第2条 出入通路の指定

 双方は、工業地区開発事業の着工前に列車・車両運行事務所と工業地区を連結する道路および鉄道の出入通路を協議し指定する。

 第3条 工業地区税関の設置

 北側は、工業地区に税関(以下「工業地区税関」)を設置し運営する。

 第4条 通行車両の登録および出入確認

 1、双方は北と南を往来する車両(鉄道車両は除外)に対し、双方の税関当局が指定する税関に事前登録するようにし、登録された車両に対し以下の各事項が記載された通行車両証明書を発給する。
 イ、車両登録番号、車種、生産年度および排気量など
 ロ、積載量または定員
 ハ、運行目的、運行区間および有効期間
 ニ、その他双方が必要だと認め定める事項
 2、双方は通行車両の登録名簿を相互通報する。この場合、登録名簿に登録された車両は双方の税関に登録された車両とみなす。
 3、通行車両は、列車・車両運行事務所で通行車両証明書を提示し、出入確認を受けなければならない。

 第5条 通行車両に対する税金などの免除

 双方は通行車両に対し、すべての税金を免除し通行車両に関する税関手続を行わない。

 第6条 搬出入物資などに対する通関手続

 1、工業地区に搬出入される物資と郵便物に対する通関手続きは、工業地区税関が担当する。
 2、工業地区に出入する人員の携帯品および通行車両に対する税関検査は、列車・車両運行事務所が実施する。
 3、工業地区税関は、企業の要請に従い搬出入物資に対する検査を物資の到着地、あるいは出発地で実施する。
 4、工業地区に搬出入される物資に対する通関手続は、特別な理由がない限り簡便かつ迅速に処理する。
 5、工業地区税関は、すべての搬出入物資に対し税金と手数料を賦課しない。

 第7条 搬出入手続き

 1、南側の列車・車両運行事務所では搬入物資に対し、事前に提出された申告書類で工業地区搬入物資であることを確認し、運送人に交付する。
 2、工業地区税関では搬出入物資に対し、事前に提出された申告書類で工業地区搬出入物資であることを確認し、運送人に交付する。
 3、税関申告書類には、搬出入物資の送り人、受取人、品名、数量、価格、運送期間、出発地、到着地などを記載する。

 第8条 搬出入物資の運送

 1、工業地区に搬出入される物資は、特別な事情がある場合を除いてはコンテナで運送し、コンテナは出発する前に工業地区搬出入物資であることを確認した税関で封印する。
 2、双方の税関はコンテナに封印する場合、封印番号を確認した申告書類に記載しなければならない。
 3、双方の税関は、列車・車両運行事務所で特別な理由がない限り、申告書類と封印の異常の有無を確認し運送物資の税関通過を許可する。
 4、双方の税関は、税関封印に異常があったりコンテナ異常などの事故が生じた場合、すぐに相互通報する。

 第9条 情報提供

 双方は通関と関連し、制定あるいは修正、補充する法規を提供し、相手側の資料協調要請に対し、特別な事情がない限りすぐに応じる。

 第10条 税関当局間の交流・協力

 双方の税関当局は、工業地区に搬出入される物資の通関を円滑にするため、相互交流・協力する。

 第11条 解釈および適用

 双方は、本合意書の解釈および適用と関連して発生する問題を、北南経済協力推進委員会または同委員会が委任する機構で協議し決定する。

 第12条 修正および補充

 双方は必要な場合協議し、合意書の事項を修正、補充することができる。この場合、修正、補充される条項は第13条第1項のような手続きを経て効力が発生する。

 第13条 効力発生および廃棄

 1、この合意書は、双方が署名し発効に必要な手続きを経て、その文本を交換した日から効力が発生する。
 2、この合意書は、双方の関連法規と同じ効力を持つ。
 3、この合意書は、一方が相手側に廃棄意思を書面で通知しない限り効力を持つ。廃棄通知は、通知した日から6カ月後に効力が発生する。

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