コリアン学生学術フォーラム2002

日本の公立学校における民族学級について

奨励賞―姜尚美(立命館大学4回生)他2人


 在日朝鮮人の数は年々減少していると言われる。確かにその数をとってみると、かつては70万人とも80万人とも言われたが、現在は約60万人にまで減少しており、その中での特別永住者の数は約50万人にまで減少している。その主たる要因としては毎年1万人にのぼる日本国籍取得をあげることができる。

 しかしそれは単に「朝鮮」・「韓国」籍を持つ人が減少したということであり、日本国籍取得者も含めると在日朝鮮人の数はむしろ増加していることになる。つまり在日朝鮮人は年々多様化しているということが言える。

 現在、在日朝鮮人学生のうち、8割が日本の学校(その大半は公立学校)に通っており、民族学校に通っているのは2割にも満たない。日本の学校に通う在日朝鮮人学生の大半は自分とその家族・親せき以外は日本人という社会の中で生活し、日本の同化教育を受ける事により朝鮮人としての民族的自覚を持つことができず、日本語しか話せず、日本の歴史・文化・風習に慣れ親しむようになる。そしてその大半が通名(日本名)で通う。このような状況の中で在日同胞が民族性を持つことは容易ではない。

 そのような日本の公教育の中での民族教育を支えてきたのは民族学級である。民族学級は阪神教育闘争以降、紆余曲折を経ながらも草の根的な運動により徐々に拡大され、現在大阪の公立学校には約140校の民族学級がある。そこで朝鮮半島の歴史や文化・言葉を学んでいる。制度の不十分な中で民族講師たちが日本人教師・保護者と連帯しながら支えている。

 戦後57年経った今、差別は徐々になくなってきたと言われる。しかし就職差別、住居差別、国籍差別等々、いまだに差別は現存する。それはただ見えにくくなっただけである。

 このような社会の中、民族教育の必要性、とくに在日朝鮮人児童の大半が通う日本学校における民族教育のそれは非常に高いと言える。

 今回は、民族学級が日本政府の同化教育政策の中からどのようにして民族教育権を同胞が勝ち取ったのか、また現状と課題、今後の展望について調べてみた。(姜尚美・立命館大学産業社会学部4回生、姜晴大・京都産業大学法学部4回生、金孝京・同志社大学工学部2回生の共同論文)

金孝京さん 準備過程で実際に民族学級にも行き、いろいろなことを見た。今後も勉学に励みたい。

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