障害者らと共に走る
東京第5、第3の生徒・学父母がボランティアとして参加
ピポ・ユニバーサルミニ駅伝
「違いを認め合い、お互いを尊重し、誰もが生きがいを持って暮らす」―。そんな社会作りの一環として障害者、高齢者、健常者が一緒にチームを組んで走る「ピポ・ユニバーサル駅伝」(主催・NPO法人CS21)が11月24日、都立戸山公園で行われ、約430人が参加した。今回初めて、東京第5初中の中級部生徒60余人と学父母、東京第3初級の生徒7人がボランティアとして参加した。年齢や障害の有無で区別せず、みんなで支え励まし合うことの大切さを学んだ1日となった。
◎ ◎ 「ピポ・ユニバーサル駅伝」とは、小学生、視覚障害者、車いすの人、高齢者(60歳以上)、健脚者の5人が1チームを編成して走るというもの。ボランティアが障害者たちをサポートし、1区間1.2キロ、全5区間をそれぞれ5人のチームでタスキをつなぎゴールをめざすロードリレー競技だ。 障害者のロードレースや団体の駅伝は広く開催されているが、障害者、高齢者、健常者が共にチームを組んで走る駅伝は日本で初めての試みだという。 新宿区社会福祉協議会や勤労者ボランティアセンターなどが後援。潟gヨタ自動車、潟Vチズン時計、潟Lリンビールなどの大手企業が協賛した。在日本朝鮮人東京都体育協会や東京朝鮮第5初中級学校も協力団体として名を連ねた。 ◎ ◎ 駅伝当日は朝方、あいにくの曇り空だったが、みんなの願いがかなったのか、競技開始が近づくにつれて徐々に晴れだした。参加者、ボランティアの人たちの顔にも笑みが広がる。 正午に開会式が行われた後、午後1時から駅伝がスタートした。 東京第5初中と東京第3初級の生徒たちはそれぞれ車いす・視覚障害者の伴走者、走路員となり、チームのメンバーと協力しながら駅伝を楽しんだ。 道路脇に立って声援を送る人たちに声をかけられるとすかさず手を振り、笑顔を見せる朝鮮学校の生徒たち。 視覚障害者と走った李敬桂くん(東京第5初中・中3)は、「叔母が視覚障害を持っているので、障害者の気持ちはよくわかる。こういった形で一緒に走るのは初めてで最初は緊張したけど、走るうちにほぐれてチームのみんなと楽しく走れた。こうした機会を通じて、今後も互いの理解を深めていければ」と話す。 「試走の時点から車いすを押すのがとても難しかった」と話すのは林明愛さん(東京第5初中・中3)。 「はじめは本当に自分ができるのか不安でいっぱいだったけど、障害者との壁もなく楽しく走ることができた。障害者の人たちと触れ合うことの大切さを学ぶことができた。ほかのボランティアの学生たちとも交流を深めることができたのもよかった」 成敏植さん(42)と成英旭くん(東京第5初中・中2)は、親子で参加した。 「健常者と障害者が共に交流する場があまりないので、子供にはとてもいい勉強になると思う。小さい頃からこうした経験をすることは、人生において今後の糧になるはず。このような機会をどんどん増やしていってほしい」(成敏植さん) 「障害者も健常者もみんな隔たりなく暮らせることを実感した。とてもいい経験をした」(成英旭くん) 東京第5初中の林桂U校長は、「本校は4年前から課外授業として、さまざまな人たちと触れ合う機会を設け、生徒たちの心を育てる教育に力を入れている。生徒たちには、『学校』という枠にだけとらわれず、貴重な経験をしていってほしい。人への思いやりを育て、純粋で優しい気持ちを持てることができるこのような催しには、これからも参加していくつもりです」と語った。(金明c記者) 障害者と健常者の共生生活を目指して 大会審判長を務めた李節子さん(NPO法人CS21理事) NPO法人CS21理事で、朝鮮大学校講師、在日朝鮮人陸上競技会理事長、文部大臣公認・日本体育協会認定スポーツプログラマーなど、さまざま肩書きを持つ李節子さん。同駅伝成功のため精力的に活動し、当日は大会審判長を務めた。 「今回、初めての試みだったがとてもよかった。運営からボランティアまですべてにおいて支援してくれたみなさんに感謝の気持ちでいっぱいです。朝鮮学校の生徒たちにもボランティアとして来てもらって大変感謝しています。障害者も健常者も共に楽しめるユニバーサル・スポーツの普及を目指してよりいっそう活動の輪を広げ、第2回、第3回と必ず成功させていきたいと思います」 |