取材ノート
タブーのない議論の場を
「議論にタブーがあってはならない」
11月23日に東京で開催された「コリアン学生学術フォーラム」で審査委員長を務めた洪南基さん(神奈川大学理学部非常勤講師)はこう話す。 今回のフォーラムは初めての試み。同胞社会を取り巻く環境が大きく変わる中で、「学生らしい自由な発想かつ斬新な切り口で、在日≠ニいう狭い認識にこだわらず、世界°K模の観点から、コリアンとコリアンコミュニティーの将来に向けた積極的で建設的な提言を行い、日本社会の国際化・共生社会実現、統一祖国の発展を担う人材を幅広く発掘しよう」(実行委員会あいさつ)というのが目的だった。それはおおむね達成されたのではないか。 民族教育や国籍問題、平和統一に向けた在日としてのアプローチなど、論点はさまざまだったが、非常に自由でありながら、未来の同胞社会をどう構築していくかという建設的な議論が多かった。 中には、「在日朝鮮人の権利獲得のための二重国籍を提案する」「特定の国家権力におもねることのない、在日としての主体的な立場を決するという姿勢を明確にすべき」という問題提起もあった。 私の感覚が古いのかもしれないが、思い切った意見を出すようになったと思った。しかし、考えてみればこれが当たり前なのだ。 論文を発表した学生たちは、同胞社会の未来を真剣に考えているからこそ、さまざまな意見を提起しているのだから。洪先生も言っているように、その時点でタブーを作ってしまっては、何にもならない。 自分たちの未来をどうすべきなのか。狭い枠にとらわれず、いろいろな角度から議論する場はどんどん作るべきだ。在日同胞社会の主人はあくまで同胞。自分たちの未来は自分たちの手で開拓していかなければならない。フォーラムを取材しながら、そんな勢いを若い世代に感じた。(聖) |