青商会「ウリ民族フォーラム2002inOSAKA」

厳しい時期、だからこそ奮闘

多くの希望を未来に


 在日同胞を取り巻く情勢が大きく揺れ動く「激動の時期」に開かれた「ウリ民族フォーラム2002inOSAKA」。紆余曲折を経ての開催だったが、「ミレ・スマイル」「ミレ・サポート」をコンセプトに、参加者に笑顔と笑いを与え青商会が進むべき道をあらためて示した。感動冷めやらぬ参加者、関係者の声を紹介する。

参加者、関係者も感動

 李成銖・北海道青商会会長(41)

 笑いあり、涙ありのフォーラムだった。地元に帰ってまた青商会活動も仕事も頑張ろうという元気をもらった。ここに至るまでにはいろいろとアクシデントもあったが、やはり開催されてよかったと思う。何よりも子どもたちのために、未来の同胞社会のために青商会が頑張るんだということを再確認できたことが大きな成果だ。

 黄元圭・中央青商会会長

 情勢は、ある時はわれわれを驚かせたり複雑な思いにさせることがあるが、希望さえはっきりしていれば、前途はおのずと見えてくるものだった。より多くの希望、宝物を未来に与えることが私たちの使命だ。未来志向で引き続き頑張っていこう。

 宋龍舞・茨城県青商会幹事(37)

 緊急討論会は結論までには至らなかったが、情勢を正確に把握する必要性を改めて感じた。私たちは日本のマスコミの論調に影響される必要はない。私たちは青商会の理念に沿ってわが道を歩むべきだ。

 金勝一・九州青商会幹事(36)

 青商会のパワーをあらためて感じた。厳しい時期だからこそ、若い世代が奮闘し、同胞社会を守り立てていくべきだ。

 姜尚賢・千葉県西部青商会(西友会)所属(33)

 昨年に続き2度目の参加だが、参加してこそフォーラムの良さは分かる。学齢前の子どもが2人おり、いろいろと悩む時期だが、子どもたちが自分は何ものであるかを知るためには、やはり朝鮮学校で学び、アイデンティティーを確立していく必要がある。

 張秀一・愛知県青商会会長(41)

 この間、心が揺らぐ時もあったが、在日の生き方は今も昔も一緒。フォーラムはそのことをあらためて示したと思う。ヒントは在日のルーツにある。

 吉本新喜劇に酔っ払い役で出演した鄭大一さん(36)

 吉本と共演できたことに非常に満足している。同時に、参加者らが大いに笑い、元気を得たならば、満足度はさらに増すだろう。

 文煕哲・実行委事務局長(大阪府青商会幹事長)

 紆余曲折を経ての開催となったが、しんどい時こそやるのが大阪だと思う。会員同士の団結を強めることもでき、この勢いで引き続き前進していきたい。

パネルディスカッション

「民族教育」の大切さ、さまざまな角度から語る

 パネルディスカッション「ミレ・スマイル〜子どもたちの今、その笑顔を見つめて」では、朝鮮学校生徒1078人が語った「将来の夢」が紹介された。分野別に見ると、スポーツ・文化(39%)、技術・資格(34%)との答えが多数を占めた。初級部、中級部ともに回答のトップはサッカー選手で、高級部は教員。学年が上がるほど、現実味を帯びた答えをする傾向が目立ったが、全体的には教員が多かった。

 以下、パネラーの主な発言内容を紹介する。

 朝鮮学校を題材に映画を製作している韓国の映画監督、趙恩聆氏

 先日、韓国の子どもと交流した朝鮮学校の子ども、引率した教員たちを取材した。在日の子どもたちは、南と北、北と日本を結ぶ橋渡し役になれる。

 大阪朝高を卒業して現在カナダで留学あっ旋事務所を経営する高貞恵氏

 カナダで事務所を設けることができたのは、朝鮮語、日本語、英語を話せるからで、今の自分があるのは朝鮮学校に通ったおかげだ。世界で通じる人材を育てられるのが民族教育だと思う。

 中国にある朝鮮民族学校元教員、許淑子氏

 中国東北3省には多くの朝鮮族が住んでいるが、民族性は薄れてきている。だからこそ民族教育がよりいっそう重要視されてきている。

 日本学校に設置されている民族学級講師、朴正恵氏

 教え子が韓国に行った際、盲腸で入院したが、言葉が通じず困ったことがあった。やはり言葉が重要であるということだ。自分が誰であるのかを知ってもらえるよう、引き続き頑張っていきたい。

 大阪府青商会幹事で北大阪初級・アボジ会会長、金致萬氏

 アンケートで教員を夢見る子が多かったのは、それだけ教員が子どもたちに好かれていることを表しており、学校が好きだという表れだろう。

ミレ・スマイル、ミレ・サポート全面に

 「ウリ民族フォーラム2002inOSAKA」は、コンセプトに掲げられた「ミレ・スマイル」「ミレ・サポート」が全面に押し出されたものとなった。

応援歌を大合唱

 オープニング早々から150人の合唱団と16人のアカペラ隊による合唱「ウィハヨ」が披露された。今フォーラムのために大阪府青商会が歌詞を書き、それに大阪朝鮮歌舞団が曲をつけた子どもたちへの応援歌で、パワー溢れるものだった。

 何のために、子どもたちのために、わが未来のために、豊かで力強く作ろう…、民族のために、祖国統一のために、という希望に満ち溢れている歌だ。合唱とともに舞台スクリーンには、笑顔いっぱいの元気な子どもたちの姿が映り、まさにその子どもの未来のために青商会が新しい世代の主人公として、同胞社会を担っていこうとの思いがひしひしと伝わってきた。

 パネルディスカッション「子どもたちの今、その笑顔を見つめて」では、朝鮮学校の初中高級生徒1078人が語った「将来の夢」が紹介された。

 初級部、中級部ともにトップ回答はサッカー選手で、高級部は教員。初級部では洋菓子屋(3位)などと子どもらしい「夢」が見られたが、学年が上がるほど、美容師、デザイナー、通訳(中級部の3、4、5位)、看護師、建築家、福祉関係(高級部の3、4、5位)などと現実味を帯びる回答へと変わっていっていた。参加者らもそれに大きくうなずいていた。

変わらぬ理念で

 フォーラムでは、青商会が子どもたちの未来を応援する強力なサポーターであることを確認する一方で、少なからぬ課題を乗り越えていかなければならないことも強調された。

 緊急討論会「どうなるのか在日同胞社会! 何をするのか青商会!」では、朝・日間に提起されているいくつかの諸問題について意見を交わす場面もあった。拉致問題が提起され、結論には至らなかったものの、平壌宣言の精神に沿って問題を見ることや、「豊かな同胞社会のために」「子どもたちの輝く未来のために」という青商会の理念に沿って、運動を進めていくべき必要性などが強調された。参加者らも、その理念に変わりがないことを確認していた。

厳しさも笑いで

 吉本興業の俳優12人と同胞22人が共演した吉本新喜劇版「コリアンタウン物語」。国語講習所が地上げ屋によって買収されそうになるというストーリーだが、民族の言葉と文字を子どもたちに教え、そして彼らに民族の心を植え付けられる講習所はなくてはならない大切な場所であることを地主が悟り、講習所は無事、継続運営されることとなった。

 吉本新喜劇だけに、終始ギャグの連発だったが、それが逆に厳しい現状も笑いで吹き飛ばし、進むべき未来に向かっていくための力と元気を参加者らに与えるものになった。本番では、前日のリハーサルの時よりも多くのギャグが飛び交い、吉本の俳優が同胞出演者らのギャグに驚き、たびたびほめる場面もあった。100回、いや200回は笑っただろう。

 今回で7回目を迎えた「ウリ民族フォーラム」。開催に至るまでは紆余曲折もあったが、大阪青商会を中心とする関係者らの忍耐強い努力と気迫によって、またもう1つ、青商会が同胞らに力と勇気を与えることとなった。(羅基哲記者)

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