翁草
故郷の田舎から
手紙がきました
山々に翁草が咲いたと
忘れもしない故郷の
翁草咲く山々
今年も芽吹いたと嬉しい知らせ
目を閉じれば浮かぶ―
笑いよりも悲しみが多かったあの時代にも
毎年咲いていたあの翁草
若くても翁草
老いても翁草
腰を曲げたその姿から翁草というのでしょうか
腰は曲がっても
曲がることのない
朝鮮のハルモニの心をうつしたのでしょうか
半万年長き歳月の中で
十二枚の花びらに身をつつみ
固く守った誓いの心 変わらぬ松竹の節操
その心こめて咲きました
五穀の実るこの地に
紫の花 咲かせました
翁草 翁草
わが故郷の翁草
蝶も嬉しくて空を舞います
人も変わり
時代も変わったが
変わることのない翁草よ
チョン・ファフム 鄭和欽詩集「たんぽぽ」2000・8・15発行 収録。(訳・全佳姫) |