Han ahn soon 東京コレクションに初出展

夢は世界へ―「パリコレ目指しがんばる」


 先月、日本ファッション界の登竜門とされる東京コレクションに初出展した「Han ahn soon」。9月には地元・大阪で新スポットとして注目されている北堀江に初のオリジナルショップもオープンした。同ブランドのデザイナーで大阪朝高出身の韓安順さん(26)は、「夢はパリコレ。世界目指しがんばる」と意気込みを語っている。

メンズも初披露

 独特な色彩感覚と女性らしくかわいいシルエットが人気の「Han ahn soon」。大阪朝高出身の同胞デザイナー、韓安順さんがデザインするブランドだ。10月28日、東京・原宿で行われた春夏の東京コレクションには多くの業界関係者や報道陣が訪れた。

 目が覚めるような明るいブルー、かすみがかったような桜色、きらきらと光るラインストーンやスパンコール…。往年のアイドルを連想させるスパンコールやビーズ仕立てのワンピース、懐かしのアニメなどがプリントされたデザインが目を引いた。また今回のコレクションでは、メンズものも初披露された。「昭和」をテーマに、「私がイメージする『かっこよくて派手、パワフルな古き良き時代』を表現した」と韓さんは語る。

東京コレクションから

 ブランドを立ち上げた当初はチュールレースなどチョゴリの素材を多用した作品が中心で、「好きなものを単品で作ることが多かった」という韓さん。最近では使用する素材の幅も広がり、「『このシーンにはこのスタイルで』というトータル的なコーディネートをイメージしながら衣装を作っている」そうだ。

 同ブランドは全国のリステア各店で購入可能だが、「9月にオープンした『Han ahn soon』大阪店が、オリジナルショップだけあって一番入荷が早く、品数が豊富」と語るのは韓さんがアパレル契約する潟泣Vェルブルーのプレス、金谷絵美さんだ。

 同店スタッフの中島規恵子さんによると、「開店から3カ月近くしか経っておらず客層はまだ定まってないが、20〜50代まで幅広い年齢層が訪れる。パールのベルトやサイドにラインストーンがあしらわれたデニム、シックなワンピースが人気」だそうだ。

 生地の買い付けやショーなどで海外や東京に出張するほかは極力店舗に顔を出すという韓さんは、「自分もお客様も楽しめる店にしたい」と意欲満々。今後は東京への店舗拡大も視野に入れているという。なお東京コレクションで出展された衣装は、12月中旬から店頭に並ぶ予定だ。

「在日」を強みに

ステージ上であいさつし、花束を受け取る韓さん

 幼い頃からぬいぐるみやお守りを手作りするのが好きだったという韓さん。「昔から裁縫は得意だったけど、編物はまったくだめで。オモニはその逆。だから親からとくに影響を受けたということはなかったが2人とも作ることは好き」。そんな家族は、韓さんの活躍を温かく見守ってくれている。東京コレクションでは一同そろって、大阪から花束を持って駆けつけた。

 見守ってくれているのは家族だけではない。地元の友達や恩師もまた韓さんの活躍を応援してくれているという。「近所で自転車に乗っていると声をかけてくれる。私の服を着てくれている友人もいてとてもうれしい」。

 「『在日3世デザイナー』ということで話題を呼び、日本のマスコミに取り上げられたことで知名度アップにもつながった。何かとマイナスにとらえられがちな『在日であること』をうまいこと利用させてもらった」。「在日」であることを強みに自身の才能や努力を花開かせた韓さん。同じ在日コリアンの同世代に向けて、「みんなも自信を持ってどんどん前に出ていってほしい。そうすれば夢は必ずかなうはず」とエールを送る。(李明花、金明c記者)

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