核問題解決の試金石

朝米関係に関する最近の論調


 「朝鮮半島に醸し出された深刻な事態を打開するために、われわれは朝米間で不可侵条約を締結することが、核問題解決のための合理的かつ現実的な方途になると認める」。核問題と関連して朝鮮外務省スポークスマンが不可侵条約締結を提案して以来、労働新聞など朝鮮の各メディアはその意味と米国が主張する「先核放棄」の不当性などを指摘する論調を連日掲載している。

不可侵条約

 朝鮮ではなぜ、不可侵条約締結が核問題を解決するための現実的な提案だとしているのか。

 労働新聞9日付は、「現在、朝鮮半島には現実的な平和保障の制度的装置がない。米国によって朝鮮停戦協定は朝鮮半島情勢をコントロールできない、有名無実なものとなった。不正常な武力衝突を防止し、情勢を緩和して平和と安全を保証する道は、われわれの提案どおり朝米間に不可侵条約を締結することにある」と指摘している。

 同紙8日付は、「自主権と生存権を守るための正当な措置」だと主張している。ここには米国の核圧殺の脅威につねにさらされているとの認識がある。そのため、「われわれの自主権と生存権に対する脅威の除去をすべての問題解決方式の基準点」と見なしている。

 「不可侵条約締結提案に臨む米国の態度は、彼らが朝鮮半島の平和と安定の保障、核問題解決の意思があるかないかを分かつ試金石となる」(同紙1日付)と米国に提案受け入れを呼びかけている。

「先核放棄」

 米国側が主張する「先核放棄、後対話」については、「公式に受け入れられないのは自明の理」(労働新聞7日付)だと指摘した。

 「不可侵条約を通じて核不使用を含む対朝鮮不可侵を法的に保証するなら米国の『安保上の懸念』を払拭する用意がある、というわれわれの生産的で実用性のある平和発起を事実上黙殺する独善的で一方的な行為」(同)だとしている。朝鮮にとって米国の論理は、「われわれを武装解除させ、たやすくのみこんでしまおうということ」(労働新聞4日付)というわけだ。

 同紙は、「われわれが『先核放棄』を宣言すれば、『経済的恩恵が与えられるようにする』と米国が言ったのは、われわれが銃を捨てればアメをやるということだが、これは朝鮮に対する耐えがたい冒とく」だとも主張している。

枠組み合意

 朝米基本合意文(枠組み合意)について9日付の労働新聞は、「米国のブッシュチームがわれわれを朝米基本合意文不履行の『犯人』に仕立て上げようと、事実と全く合わないことを流布している」と非難。「合意文の真の違反者は、われわれではなく、米国自身である」と指摘している。

 「ブッシュ政権がわれわれを『悪の枢軸』と規定し、核先制攻撃リストに載せたのをはじめ、われわれの制度を認めず、武装解除を公言したのは、相互認定に基づいて妥結した朝米基本合意文の基礎を崩したことになる」(労働新聞2日付)というのがその理由。

 とは言え、「朝鮮半島の核問題は、あくまで朝米基本合意文に伴う同時行動の原則に基づいて扱い、解決しなければならない」(同)、「合意文が円滑に履行されれば、朝鮮半島の核問題と平和保障問題をはじめ朝米間の鋭敏な懸案が公正に解決されるようになっている」(労働新聞9日付)との立場だ。

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