麗順事件54周年国際大会に参加して

虐殺・清算・和解がテーマ

全春福


 去る10月17〜20日、麗水・順天(麗順)事件54周年を契機に開催された虐殺・清算・和解というテーマで、第6回東アジアの平和と人権の国際学術会議・麗水大会に招待され、参加した。

 今大会の目的は、冷戦期・東アジア民衆に対する生活破壊と、言語に尽くしがたい人権蹂躙・虐殺およびそれらの弾圧に対抗する個別の闘争史・生活史を検証し、広く世論を喚起して、被害者たちへの国家補償を迫るものである。参加者は中国、日本、南朝鮮、台湾の学者、文学者、カナダのノーベル平和賞受賞者など、多彩な顔ぶれがそろった。この会議は初回の台湾、済州道、沖縄、光州、京都と続き、今回の麗水大会へと受け継がれた。

 今回開かれた麗水の地は麗順事件の時、民間人ら1万人が虐殺され、朝鮮戦争時には100万人が犠牲になったが、ほとんどがアカに協力したという無辜の罪で虐殺された。米帝国主義の後押しの下、国軍が犯した事件だったにもかかわらず、共産軍の仕業に見せかけた事件が、50余年を過ぎた今でも真相が明らかにされていない「恨の地」である。

 大会3日目の午後、麗水・順天事件の良民虐殺の現場や犠牲者たちの遺体が埋葬されている墓地を訪ねた。この日の夜には麗順事件54周忌追悼芸術祭に参加。麗水市長や遺族代表の挨拶に続き、追悼の演目が次々と披露されていった。その中には実際にあった虐殺を寸劇で再現したものもあった。幼児を背負った妊婦が、アカの嫌疑のかかった夫の行方を吐けと、コチュの入った水桶に何度も何度も顔をつけられ、それでも口を閉ざす妊婦と背負った幼児を銃剣で刺し殺す凄惨な場面。夫の行方を吐けと妻と父を拷問して銃殺する場面。居合わせた村人全員を皆殺しにする場面…。わが民族の受難の大きさに改めて憤りを感ぜずにはいられなかった。

 今回、東アジアの平和と人権国際シンポ参加者一同の名義で、いわゆる拉致問題によって在日同胞や朝鮮学校の児童生徒に対する相次ぐ脅迫・攻撃を憂慮し、直ちに中止するよう求めたのをはじめ6項目の内容からなる緊急アピールを採択し、全世界に発信した。

 その後、司会者から私が朝鮮籍を持った在日の作曲家として紹介された。その場で私は統一を願って作った「ヒョンジェヨ イジェ ウリ(南の詩人柳春桃・全春福作曲)」を歌った。

 涙にむせてしまったが、激励の大きな拍手をいただいた。(文芸同北陸支部委員長)

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