「ウリミレ創造キャンペーン」大阪女性同盟が大車輪

生野西支部中川西1分会 朴愛子分会長


 そこはかとなく漂う焼肉の匂い、お好み焼きの鉄板の音、右を行く人も左を行く人もみな同胞の顔、顔…。

 「アンニョンハセヨ」「パンガプスムミダ」。あいさつもウリマル。ああ、ここはどこだ。そう、ここは、大阪は鶴橋駅界隈、通称猪飼野の中心地。そこで暮らす人々の頼もしい生活ネットワークが、女性同盟生野西支部中川西1分会である。275世帯ほどの同胞たちが集中して住んでいるため、自転車で信号2つを30分回ればカバーできる区域。

 この地域の同胞女性たちが今、「面白くなきゃニョメンじゃない」を合言葉に取り組んでいるのが、「ウリミレ創造キャンペーン」である。女性同盟結成55周年を記念して今春から2年後の春までをめざして行われるもの。その第1弾として大阪府下の同胞女性を対象に約1万枚の抽選券の配布をする訪問運動の先頭に立ってきたのが中川西1分会の朴愛子(58)分会長兼同支部副委員長(非専従)である。この1万人訪問運動の大阪府下・分会別ランキングでこの分会はいつも堂々1位に輝き、8月初旬にはいち早く指標を100%達成した。

 朴さんは長い間共和病院の職員としてフルタイムで働きながら、2男2女を育て上げたスーパーオモニ。ちょっとやそっとではくじけない。今春から始まった「ウリミレ創造キャンペーン」では当初、朴さんが骨折のため4月から5月にかけて入院するというアクシデントに見舞われた。そのため朴さんの退院を待って分会の集いを開き運動を始めたのが6月中旬。役員みんなで分担して、抽選券と記念品を持って同胞の家々を回った。

 「ハルモニが記念品を喜んでくれましてね。いつも会費をこちらがもらっているのに、わずかばかりのものに、かえって感謝してくれました」。地の利を生かして、片っ端から各家庭を訪問していった。

 「なんせ、この地域にある御幸森小学校は、全校児童の7割、ある学年に至っては全員が同胞の子供だった時期もあったほどの特異な地域。国籍や所属に関係なく、道で会えばこの人は同胞だとすぐ分かる」と朴さん。そう言えば道行く人が、携帯電話にがなる言葉もウリマル。コリアンタウンで行き交う言葉も威勢のいいウリマル。そんな雰囲気が懐かしくて、この街を進学、就職、結婚でいったん離れていった若者たちがUターンしてきている。

 「それも、時代を反映してか、娘が婿や子どもを連れて戻って来る。この街で育ったから、子育てもこの街でしたいと。うれしいことです」

 分会長自身もこの街に嫁いで来て、学校のオモニ会長で汗をかき、分会の委員、副分会長を長く務め、地域の女性たちのあつい信頼を得るようになった。その人柄を同支部の夫敬子副委員長(60)もこう話す。

 「ここは1世ハルモニの民族愛がどこよりも強い地域。分会長は26歳でここに嫁いで以来、その気風になじみ、鍛えられながら自然にみんなに溶け込んでいった。人に言えない苦労もあったろうが、いつも優しい笑顔で、本当に地域のオモニのような存在。毎日誰かが、よろず相談にやってくる」

 朴さんは「同胞密集地域に住んでいると生活もすべてガラス張り。イイカッコなんてできません。同胞の喜びや痛みを自分のものとしてやっていく以外はありません」と微笑んだ。(粉)

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