来年中等教育実施50周年迎える広島朝鮮初中高級学校

同胞、日本市民対象にカルチャースクール開講


 広島朝鮮初中高級学校(広島市東区)が9月から近隣の住民を対象にしたカルチャースクールを同校で始めた。ハングル、パソコン、エアロビクス、空手…。地域の同胞、日本市民らが朝鮮学校に集い新しいスキルを身に付け、朝鮮文化に触れ合い、体を動かす。朝鮮学校に新しい光景が広がり始めた。

教員らが発案

 9月11日にスタートしたカルチャースクールは広島初中高の教員らが発案、企画したもの。同校は来年中等教育実施50周年を迎えるが、今後の「学校のあり方」を話し合う過程で持ち上がったという。

 「民族教育を発展させるためには朝鮮学校の保護者、同胞、近隣の日本市民の生活に根ざした学校作りが必要なのでは」―。

 この方向性を見出し、学校を同胞や日本市民の生涯学習の場、国際交流の拠点に作るカルチャースクールを開講することになったのだ。

 カルチャースクールの講座はハングル(朝鮮語)、パソコン、エアロビクス、空手の4つ。ハングル、パソコン、空手は同校の教員が、エアロビは一般の同胞が講師を担当している。今年度から準備を進め、中国新聞に協力を要請したり、朝刊に広告1万枚を折り込んだり、東区役所の市民ロビーにチラシを置いてもらうなどしてアピールした。

分かりやすい講義

 現在、4講座合わせて55人が受講しているが、そのうち21人が日本市民だ。ほとんどが広島初中高に足を踏み入れたことなどなかった人たちだ。

 ハングル講座は、高まる朝鮮語への関心を象徴してか受講者すべてが日本市民。3分の2が中高年、残りが20代の女性だ。言葉を純粋に勉強したい人が多数を占める。講師の徐錫姫教員は、「地域の文化講座のように気軽に足を運んでくれたのがうれしかった。週に一度顔を合わせれば気持ちが通う。クラブ活動に励む生徒たちの様子も自然に目に入るし、そのような過程で人と人がつながっていけると感じる」と話す。

 「カルチャースクールを開いて視野が広がった」と話すのは事務局担当の諸葛賢教員。「日本学校との交流は数え切れないほどやってきた。しかし、朝鮮の文化や歴史、芸術を伝えるという意味では役割を果たしてきたものの、地域に貢献し、同じ地域に住む住民として関係を築いてこられただろうか。地域に根ざすとは、結局は人間関係を築くという当たり前のことに気づかされた」。

 開講して3カ月目だが、「先生が親切で講義がわかりやすい」(ハングルの受講生)などの反響が寄せられている。「日本人拉致事件で大変だと思うが、勇気を出して」とエールを送ってくれる受講生もいて、教職員は大いに励まされているという。

 同校は10月16〜19日にかけては、近隣の住民を対象にしたオープンキャンパスを開催するなど、学校を地域に積極的に開放している。【広島初中高】

日本語版TOPページ