同胞の店

家庭菜房・幕居里
(東京・青戸)

懐かしいオモニの味/利益はウリハッキョに


 今回紹介するのは、従来の「同胞の店」とは多少赴きが異なる。10人の女性たちが出資金を出し合って共同経営しているのだ。

 葛飾在住の山好きの女性たちで作られた「百日紅(ペギルホン)」のメンバーは、毎月第1日曜日に金町にある都立水元公園内をウォーキングしている。昨年6月のこと。喫茶店で一息入れている時、ある記事についてメンバーの中から話が出た。マッコリの売上金を学校に還元しているとの内容だった。記事を回し読みしたメンバーの間からは誰ともなく、「私たちもマッコリを売って地域の第5初中級学校の運営を助けられないか」との意見が出た。「善は急げ」ということで、その日のうちに物件を見に。全員が気に入り、8月のオープンに向けて準備を進めることになった。屋号もそんないきさつからメンバー全員で決めた。

 お店の自慢は「アットホームな雰囲気」で「オモニの味」を味わえることだ。

 牛スジ煮込みは、口の中でとろけそうなほど軟らかい。一口食べると「懐かしい味」が広がる。「長年家庭で培った味を基準にしているんですよ」と味付け担当の呉一南さん(71)は言う。チジム、ナムル、キムチ、石焼ピビンバなど、どれをとっても素朴な味付けなのが特徴だ。

 しかも値段が安い。例えばチジムは600円、スジ煮込みが480円。利益追求よりも、「みんなが気軽に集まれるマダン(場)を提供したい」(鄭日出さん=62)という思いが反映されている。そんな雰囲気を好んで、会社帰りに立ち寄るサラリーマンも少なくないとか。

 屋号にもなっているマッコリももちろん人気メニュー。

 「ハッキョ(学校)に利益を還元できるようになってきた。ハッキョに役立っていると思えばこそ、これからもがんばっていける」。林郁子さん(69)の思いはメンバー全員の思いでもある。(聖)

 おすすめメニュー 牛スジ煮込み(480円)、チジム各種(600円より)、特選カルビ焼(980円)

 営業時間 午後5時〜11時、定休日日曜。東京都葛飾区青戸5―1―1(セイフーチェーン前)、TEL 03・3603・4224

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