朝・日国交正常化会談
「まず国交樹立を」 朝鮮側基本的立場を表明
【クアラルンプール発=姜イルク記者】 歴史的な朝・日平壌宣言(9月17日)に基づき、国交正常化のための朝・日政府間会談が10月29〜30日、マレーシアの首都・クアラルンプールで開催された。会談には、朝鮮外務省の鄭泰和・巡回大使、日本外務省の鈴木勝也・交渉担当大使がそれぞれの団長を務める政府代表団が参加した。
内外の大きな関心の中で開かれた今会談で双方は、平壌宣言を履行していく意思を確認したが、国交正常化を推進していくうえでの方式においての見解の差は大きかった。
朝鮮側の基本的な立場は、「朝・日平壌宣言の基本精神に沿って国交正常化問題と経済協力の問題が集中的に討議され、それと平行して他の懸案問題も討議されなければならない」(鄭団長)というもので、日本側は「国交正常化にかかわる諸般の問題、とくに拉致問題、核問題をはじめとする安全保障上の問題を最優先課題」(鈴木団長)としてきた。 今会談で朝鮮側が表明した基本的立場は、国交正常化を早い時期に実現しようとするものだ。朝・日間で合意した一連の経済協力に関する問題も、両国に国交が樹立された後に実施されるもの。過去を清算し、不正常な両国の関係を正すことを先行させなければならない。会談に臨む朝鮮側の主張は一貫していた。 朝鮮側は、平壌宣言採択後初めて開かれた会談で、経済協力問題について具体的に言及しておらず、第1項目に「国交正常化を早期に実現させる」ことを明記した平壌宣言の合意事項の順序に沿って討議を進めていくことを日本側に提案した。 しかし日本は、関係正常化の論議をするに先立ち、前提条件を掲げてきた。拉致問題、核問題と関連した要求を一方的に主張したため、国交を正常化するための協議は進ちょくせず、会談では共同報道文のような文書すら発表されなかった。 会談では、互いの立場の違いが浮上したが、双方は平壌宣言の意義と重要性を強調し、これを履行しようとする互いの立場を明らかにしながら、これと関連した討議を引き続き行っていくことを確認した。 鄭団長は、「朝・日平壌宣言は、不幸な過去を清算し、互いに努力していくという両首脳の意思を反映した非常に重要なもの。これは、近代朝・日関係史において初めてとなる重大な歴史的出来事と言える。わが政府と代表団は、平壌宣言を履行するためにあらゆる努力を尽くす決意である」と指摘。鈴木団長は、「会談の再開は、9月17日の日朝首脳会談と日朝平壌宣言を受けたもので、その意義は従来にも増して大きい。日朝双方の国民、東北アジア地域および国際社会のすべての国々に歓迎される正常化実現に向け、わが方として努力することは当然」と強調した。 双方は、平壌宣言の基本精神に沿って会談を引き続き行っていくことにし、次回会談の時期と場所についてはできるだけ早い時期に、外交ルートを通じて確定していくことにした。両団長は握手で別れた。 「今回の会談では、双方が満足できる結果が出なかったが、互いの立場を確認した。双方にまだ見解の差があるが、互いに平壌宣言を履行する意思を確認した。これは非常に重要なことだと認識している」(朴龍淵・外務省アジア局副局長)。 |