真の友好親善へ
平壌宣言と戦後補償考えるなごや集会
集会では、実行委員会を代表して「マダン21(愛知県朝鮮人強制連行真相調査団)」の寺尾光身団長のあいさつの後、戦争責任資料センターの荒井信一代表(筑波大学名誉教授)が講演したほか、フォトジャーナリストの伊藤孝司氏が朝鮮で収集した被害者の証言をスライドで解説した。 荒井氏は講演で、「ピョンヤン宣言」に日本側の謝罪が盛り込まれた意義や、冷戦に連なる歴史全般を見る視点について強調した。伊藤氏は、サハリンに取り残された朝鮮人被害者の写真をはじめ、象徴的な強制連行被害者を紹介しながら、拉致問題に朝鮮がしっかりと対応する一方で、日本は集団拉致といえる強制連行の被害者に誠意をみせる必要があると言及した。 今集会は、5月に平壌で行われた「アジアに対する日本の戦争責任を求めるピョンヤンシンポジウム」での朝鮮側の提案を受け、日本政府に対してその真相究明と謝罪、補償を求めていくことを目的に、東海3県の約15の市民団体代表に呼びかけ、朝鮮北部から強制連行された被害者の証言集会として企画されていた。しかし、被害者の渡日が不可能となり、急きょ講演会に切り替えられた。 「平壌宣言」では、朝・日国交正常化に際して経済協力方式がとられることがうたわれたが、それでも朝鮮に対する植民地支配の史実が帳消しになるわけではない。こうした観点から見ると今回の集会は、朝・日友好親善を深めていくうえで、今後具体的な真の謝罪と補償の方途を追求していくために、民間団体がネットワークを築いていく重要性を確かめ合ったものといえよう。【マダン21事務局】 |