そこが知りたいQ&A
分会代表者会議で何が話し合われたのか?
同胞社会の変化とニーズに沿って新しい分会像を提起
「総聯分会代表者大会―2002」関東・東北地方大会(20日)、近畿・東海地方大会(27日)が開かれた。来月3日の中国・九州地方大会で幕を閉じる。先の朝・日首脳会談を通じて「平壌宣言」が発表されたことで、両国がこれまでの不正常な関係に終止符を打ち、国交正常化を実現して善隣友好関係を築いていける展望が開かれた。そのような中で21世紀の在日朝鮮人運動を推し進めるうえで分会の役割はいっそう高まっている。今回の大会では、同胞社会の変化とニーズに沿った新しい分会像が示された。新しい分会像とは。
Q 同胞社会の変化とニーズとは。 A 情勢が良い反面、同胞社会を取り巻く環境が複雑かつ非常に難しい状況になっているということだ。 まず、世代交代にともない同胞が定住を前提に日本で生活の土台を築いていることがあげられる。日本の社会環境と風潮は、若い世代の間では民族性をますます薄れさせ、あくまで個人生活中心の価値観を生んできている。 経済不況と金融不安は同胞商工人、一般同胞の事業や生活に深刻な影響を与えている。職業構成の面で給与所得者が増えており、同胞は日々の生活を維持するのに精一杯だと言ってよい。 このことは、総聯組織全般、とくに分会が同胞生活の保護者となり、彼らの不安を拭い去る役割を果たすよう求めている。 Q 新しい分会像とは。 A 主に3つに分けられる。まず、家族のような団欒。朝鮮語で村、部落、地域を表す言葉に「トンネ」があるが、分会がトンネのような空間になることを意味する。近隣の同胞同士親しくつきあう場と言える。 そのためには、多彩な集いの場を設けることが必要だ。朝鮮料理、チャンゴや朝鮮民謡のサークルなど民族性を学び生かすための集いが大きな比重を占める。 思想信条、政見、国籍などが異なる多種多様な人々が集まる同胞社会であることを考慮すべきだ。総聯系の同胞だけでなく民団、未組織、日本国籍保持者、国際結婚をした同胞らが共存できる空間を目指すべきだということだ。 第2に、相互扶助、同胞生活に安定をもたらす保護者としての役割を果たすべきだということ。 全国各地の総聯支部、地方本部ごとには「同胞生活相談綜合センター」が設けられている。分会長をはじめとする分会委員、経験ある顧問、専従活動家が相談員として同胞たちの悩みを解決する。そのうえでセンターとの連携をはかり、情報誌を配り個々の案件に親身になって応える態勢を整えられればよい。弁護士などの専門家もセンターを通して紹介すれば、同胞から大いに喜ばれるだろう。 冠婚葬祭、高齢者・障害者の世話、地域の日本人との交流なども、これまで同様進めていく。 Q 3つ目は。 A 「愛族愛国の代」をしっかり受け継いでいくというもの。ここで大切なのは子どもたちの教育問題だ。日本にいても朝鮮人としての誇りを失わず堂々と生きていくためには、民族教育が何よりも大切だ。 総聯では、初中級学校をより幅広い層に受け入れられる在日同胞民族学校に発展させるための措置を講じており、そのことを広く知らせる必要がある。それによって、言葉や文字を学び始めることで民族意識が目覚める最も大切な時期に、朝鮮学校に通わせられるような雰囲気を作り出すことが大切だ。 朝青班を中心とした若い世代を前面に押し出すことも必要だ。 Q 分会長を中心とする分会委員会の役割を高めることも提起されたそうだが。 A 分会長は分会に属する個々の同胞について一番よく知っており、悩みの相談に乗るなど人間的なつきあいを大切にしている。分会長をはじめとする分会委員が分会を支える原動力であることは言うまでもない。 1人2人で悩まず、みんなが意見を寄せ合えば、それだけいい知恵も出てくる。朝鮮半島や総聯、同胞社会を取り巻く環境が複雑さを極める中で、一人で考えて落ち込んでいるのではなく、さまざまな人々の意見を聞くことで力や希望も湧いてくるに違いない。 それを出来るのがトンネのような分会。互いに横の連携を深めるための同胞連絡網がそれを補完してくれるだろう。 |