春・夏・秋・冬

 祖国解放後、在日の人々が真っ先に手をつけたのが国語講習所の開設だったことは、今や有名な話だ。日本の植民地時代、皇国臣民化教育で日本語しか話せなくなっていた子どもたちに母国の言葉を教えるのが目的だった。故郷に帰っても言葉が通じるようにとの、親たちの思いが根底にあったのは言うまでもない。1945年9月には東京の神田、10月には戸塚で、すでに講習会が始まっている

▼朝鮮大学校が創立されたのは、総聯結成から約1年後の56年4月10日。当初は教員10余人、学生60余人からなる2年制、7学科の大学として出発したが、今や4年制の学部や研究院まで備えた総合大学に発展した。卒業生は1万3000人を超え、社会に貢献する多くの人材を輩出した。海外に住みながら最高教育機関まで備えているのは、在日にとって大きな誇りだ

▼その朝鮮大学校が来年度から変わる。一部学部、学科を統合し、新たな学部、学科を設ける。その目的について、同大の呉圭祥・教務部長は、「統一祖国の発展と21世紀の豊かな同胞社会を担う有能な人材を育てる」ためだと語る

▼近年、朝鮮半島を取り巻く情勢、広くは東北アジアを取り巻く環境はダイナミックに変化している。その具体的な動きについては、今さらいうまでもないだろう。昨今の情勢を見る時、統一は遠くない将来にやってくると予感できる。そうなれば、在日の地位や役割も大きく様変わりするであろう

▼そんな新しい時代に羽ばたく人材を、新生朝大から数多く輩出される日もそう遠くないと思われる。(聖)

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