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9月29日に開会式が行われた釜山アジア大会。84年ロサンゼルス五輪男子柔道95キロ級金メダリストの河亨柱東亜大教授と、96年アトランタ五輪女子柔道48キロ級金メダリストのケ・スニ選手がともに、聖火台に点火。入場式では統一旗を先頭にした北南選手が共同入場した。その光景を目にしながら、「ようやくここまできたんだな」、と万感尽きなかった
▼今大会には、多くの総聯傘下の在日同胞たちも応援団として現地入りしている。いうまでもなく、釜山・慶尚道地域は在日同胞の出身者比率で多数を占める地域である。だから、墓参りを兼ねた人が多いとも聞く。本紙記者も現地からそのつど、北南両選手の活躍や交流、釜山市民たちの歓迎、応援振りを逐一、速報すべく派遣された ▼また目を移すと釜山は、先日北南双方で同時に着工式が行われた新義州―ソウルまでの京義線から続く、朝鮮半島横断鉄道の始発駅でもあり終着駅にもなる。こうした意味合いを加味すると、釜山大会はまさに「象徴的」なものであろう ▼これまでもたびたび指摘されてきたように、2000年の6.15共同宣言の履行には、何よりも半世紀以上も分断という対決と反目の壁のなかに閉じ込められてきた不信感を取り除き、互いに普段の表情で心を通わせ合うようになることが先決である。心が通い合うようになれば力をひとつにし、知恵を出し合って統一コリアの未来図を描くことは難しくない ▼たかがスポーツ、されどスポーツ。「ピンポン外交」の例に見るまでもなく、その力は計り知れない。 (彦) |