私たちのうた
呉常弘
詩人なら お前の心は 果てしなきあの空の 稲妻のように 光りながらも ただじっとすわっているだけなのか 溶鉱炉の中へでも 数万尺の深海の中へでも たとえどこへでも お前が飛んでゆけぬ場所はない 暗黒の地 鉄格子のなかに捕らえられたとしても 世界を照らす たいまつをかかげ 空へととびたて 今日も 一つになろうと 血の叫びに 胸だけを焦がすのか 筆をもて 構想だけをあたため 構想に終わるその悪癖で ただ時をすごしていたら 来るべきその日に 故郷になんの手土産をもってゆくつもりだ 口がきけなくなっても 目が見えなくなっても 心臓だけでも うたえ、うたえ お前も詩人なら 他郷暮らし貧乏暮らし 口に糊する心配に 狂いそうだが 本当の幸せを探すのなら この時代に生きる お前の生の証 筆をもて お前も詩人なら (1971年2月) オ・サンホン 呉常弘詩集「山よ ハンラよ」1987年刊行、収録。 (訳・全佳姫) |