戦後補償裁判の現況と課題

東京でフォーラム


 第4回公開フォーラム「戦後補償裁判の現況と今後の課題2002」(主催=戦後補償問題を考える弁護士連絡協議会〔弁連協〕、戦後補償ネットワーク)が25日、東京・霞ヶ関の弁護士会館で行われた。

 現在、日本国内では日本の戦争責任を求める69件の裁判が争われているが、同フォーラムでは昨年出た判決について全国から集まった担当弁護士が報告し、課題を述べた。

 「2001年の戦後補償裁判の動向と課題」と題して報告した弁連協事務局の高木喜孝弁護士は、一連の判決について、強制連行・労働の事実を認めながらも政府の責任を否定しているとその全体的な傾向を分析した。

 しかし、裁判の積み上げによって一定の成果も出ているとして、劉連仁強制連行・強制労働損害賠償請求訴訟(東京地裁)判決と浮島丸被害者国家補償請求訴訟(京都地裁)判決を例にあげた。劉判決では、20年間で損害賠償請求権が消滅するとされる「除斥期間」の規定について「制限を認めることができる」との判断が示された点を「戦後補償裁判の大きな壁を崩す画期的なこと」と評価。また、浮島丸訴訟で「私法上の旅客運送契約に類似した法律関係」が認められた意義についても説明した。

 その一方で、「訴訟で積み上げてきたものを台無しにする判断も出ている」と指摘。日本政府が「被害者個人の賠償はすべて戦後の平和条約によって明記されない限り請求できない」との主張を展開していることに触れ、これは「ハーグ条約をはじめとする国際人道法の歴史を無視したものだ」とその後退ぶりを批判した。

 2部では国会における真相究明の動き、米国における各種訴訟について報告があった。

 国会では現在、社会民主党、民主党、共産党共同で提案された、日本軍性奴隷問題に関して日本政府の法的謝罪と補償を促す「戦時性的強制被害者問題解決補償法案」が継続審議になっている。フォーラムに参加した民主党の岡崎トミ子参院議員は、今国会での審議入り、成立に向けて尽力したいと抱負を語った。

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