春・夏・秋・冬

 雪印食品が、輸入牛肉を国産牛と偽って業界団体に買い取らせていたという前代未聞の事件が発覚した。BSE(狂牛病)対策として国費の助成で買い取る制度に便乗したものだ。偽装工作に加担した者らは「完全犯罪」だと言ったそうだが、なるほどこれは詐欺という完全な犯罪だ。「真っ白な」スノーブランドのイメージに社員自らが泥を塗った形だ

▼熊本城に、捨て犬ならぬ捨て牛が放置されて いたのは記憶に新しい。飼い主はまだ見つかっていないが、エサ代などがかさみ育てきれなかった者が捨てたのではないかというのが、もっぱらの噂。エサ代をかけて育てても、それに見合う値段で売れないからだ。酪農家をはじめとする業者がそんな思いをしている

▼実際、昨年9月のBSE騒動以降、牛肉の卸値は下がったり上がったりを繰り返したが、11月には暴落し、正月には持ち直したものの、ここへ来て下落を続けている

▼酪農家だけではない。BSE騒動で最も大きな被害を受けたのは、焼肉やステーキ、すきやきなど、牛肉を売り物にする食べ物屋だ。とくに、同胞の社会で深刻なのは焼肉業界。そんな現状を反映してか、先日、東京都商工会が開いた対策会議には、予想をはるかに超える大勢の業界関係者が訪れたという

▼事件に関与した雪印の幹部は、「これから悪いことをする」とうそぶいたという。発覚しなければ、今後も罪を重ねていたかもしれない。この難局を何とか乗り切ろうと、あの手この手を考えて奮闘する同胞ら業者の人々の気持ちを逆なでする行為としか言えない。(聖)

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