輝け!働く女性たち 〈2〉

女性が社会で働くこと、それを
可能にする積極的な環境作り


 職場を見渡せば、要職についているのはほとんどが男性…というのはよくある話。では、女性は男性にくらべて能力が劣るのか?

 青年団体のある男性職員は「能力が劣るか否かは当人の問題。性別で判断するのは見当違い」と断言。同団体でも「女性は人当たりの良さときめこまかさなどで、さまざまな分野の活動に積極的に取り組んでいる」と評価する。しかし、能力や役割が相応の「役職」に結びつくかは別問題。同団体でもトップクラスともなると「全員男性」が実状だ。

トップは「男の特権」か

 昨年夏、訪日したある在米同胞青年から「総聯には女性同盟はあるのに、なぜ男性同盟はないのか?」と聞かれたことがある。女性同盟の主な活動内容について説明すると「教育の問題に、なぜオモニたちだけが積極的に取り組むのか、アボジたちの関心が薄いのか」と、突っ込まれた。そして、総聯の専従職員および幹部のうち、女性が占める割合はどれほどなのか、と質問された…。

 長年にわたる儒教の影響からか、朝鮮学校では幼い頃からトップの座には常に「男子」の姿があった。生徒数の多い学校では学級長は男子、副学級長は女子が定番。そして朝高委員長はすべて「男子の特権」である。こうした「伝統」や「しきたり」が、未来に羽ばたこうとする同胞女性に支持されないことはやむを得ない。これから先は、女生徒たちにも男子同様、集団の中でリーダーシップを発揮する機会が与えられることは時代の要請でもあろう。

 としながら、一方的に女性優位を唱えるのでは…といった誤解を招かないためにも、「女性が女性であることを盾に、社会に甘えてはダメ」と指摘する崔美淑さん(仮名・49)の主張を紹介したい。彼女は子育てをしながら、初級学校での教員を30年近く続けてきた。

女性を盾に甘えはダメ

 オモニ教員に対する処遇は学校によってさまざまだが、ある学校では5時になったら無条件帰宅、中には4時で引き上げる人もいたという。「これでは学校側に負担をかけるばかりで、亀裂が生じても無理がない」。女性が責任ある仕事をするならば、「仕事を続けられるような環境づくりをすることが大切」と強調する。

 崔さんの場合、「教員を続けたい」との強い願いから、結婚相手の選択から始まって、子供が生まれても仕事を無理なく続けられるよう、住居を職場の近くで探し、実家に援助と協力を申し入れるなど、綿密な準備を怠らなかった。あらゆる状況を想定しても、実際の育児と仕事の両立はそれほど楽ではなかったが、実家の援助でなんとかクリア。

アボジの役割増

 子供を保育園に預けていたある日のこと。崔さん宅に0歳児クラスを受け持つ保父さんが家庭訪問にやってきて、開口一番「崔さんのところでは家事の分担をどのようにしてらっしゃるんですか?」と聞いたことがあったという。

 「本当にびっくりしました。家事を分担することもできるんだぁって…。目からウロコのカルチャーショックでしたよ」と、崔さんは20年前を振り返る。当時、保父さんがいること自体驚きだったが、「家事の分担」といった「新しい発想」は、朝鮮人である自分にはなかったもの。

 「思い起こせば、子供の送り迎えをする男性たちの姿もあったんです。でも、私たちにはその発想がなかった。ほかにも3人の同胞児童が通ってたんですが、アボジの姿は一度も見ませんでしたね」

 女性が責任を持って社会で働くこと――。問題解決の鍵は、当事者である女性自身の努力と、働く女性を支える周囲のフォローと意識の変革にあるようだ。(金潤順記者)

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