草案の外国人関連部分
近年の国際化時代を反映して、わが国に在留する外国人は年々急増している。
日本国憲法は、権利の性質上、日本国民のみを対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人についても、等しく基本的人権の享有を保障しているところであり、政府は、外国人の平等の権利と機会の保障、他国の文化・価値観の尊重、外国人との共生に向けた相互理解の増進等に取り組んでいる。 しかし、現実には、わが国の歴史的経緯に由来する在日韓国・朝鮮人等をめぐる問題のほか、就労差別や入居・入店拒否など、外国人に対するさまざまな人権問題が発生している。 その背景には、島国という地理的条件や長年にわたる鎖国の歴史等に加え、他国の言語、宗教、習慣等への理解不足からくる外国人に対する偏見やアレルギーの存在などが挙げられる。 以上のような認識に立ち、外国人に対する偏見や差別意識を解消し、外国人の持つ文化や多様性を受け入れ、国際的視野に立って一人ひとりの人権が尊重されるために、特に以下の施策を推進する。 @外国人に対する偏見や差別意識を解消し、外国人の持つ文化、宗教、生活習慣等における多様性に対して寛容な態度を持ち、これを尊重するなど、国際化時代にふさわしい人権意識を育てることを目指して、人権尊重思想の普及高揚を図るための啓発活動を充実・強化する。(法務省) A学校においては、国際化の著しい進展を踏まえ、各教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間といった学校教育活動全体を通じて、広い視野を持ち、異文化を尊重する態度や異なる習慣・文化を持った人々と共に生きていく態度を育成するための教育の充実を図る。また、外国人児童生徒に対して、日本語の指導をはじめ、適切な支援を行っていく。(文部科学省) B外国人に対しては、就労における差別や入居・入店拒否、在日朝鮮人児童・生徒への暴力や嫌がらせ等の問題があるが、そのような事案が発生した場合には、人権侵犯事件としての調査・処理や人権相談の対応など当該事案に応じた適切な解決を図るとともに、関係者に対し外国人の人権の重要性について正しい認識と理解を深めるための啓発活動を実施する。 C外国人の人権問題の解決を図るため、法務局・地方法務局の常設人権相談所において人権相談に積極的に取り組むとともに、通訳を配置した外国人のための人権相談所を開設するなど、人権相談体制を充実させる。なお、相談に当たっては、関係機関と密接な連携協力を図るものとする。(以上法務省) |