恨
監房の扉が開き ドスンと鈍い音がする
彼女の体は壁にぶち当たって転ぶ
汗と血にまみれた蒼白い顔は
乱れた髪に覆われ
凄まじい
昼も夜も
生きているのか 死んでいるのか
むしろ死よ、彼女に慈悲を与えたまえ
孤児として育ったことも罪なのか
貧しい者も学ぶことができ
働けば腹いっぱい食べられると
北の地を訪ねて行ったその罪の価が
こんなにも過酷なのか
私たちは互いに情を確認しあった
彼女は遺言でもするかのように
恨を吐露する
再び扉が開き 彼女は引かれていった
二度と戻らぬ獄門を出て
私は誓う
決してあなたを忘れない
私が生きてここを出たなら
後日、必ずあなたの恨を証明する
リュ・チュンド
1927年、慶尚北道生まれ。32年、日本へ移住。45年9月に帰国。50年6月、朝鮮人民軍義勇軍として朝鮮戦争に参加。逮捕、釈放後、ソウル女子医科大に入学。卒業後医院開院、詩集「忘れ得ぬ人々」は99年刊行。 |