商工連  昨年10月の景況観測調査

引き続き厳しい状況


 在日本朝鮮人商工連合会(商工連)が行っている同胞企業を対象とした定期景況観測も3回目を迎えた。今回の調査期間は昨年10月15〜31日。主管する商工連経済研究室は、「傾向性がはっきり出始めている」と分析している。「同胞経済研究」第3号(2001年冬)に掲載された調査結果の内容を抜粋して紹介する。

概況

表1  (%ポイント)
DI 01.
1−3
01.
4−6
01.
7−9
前期比
景況 ▲45 ▲52 ▲51
売上高 ▲33 ▲36 ▲44 ▲8
仕入価格 ▲5 ▲3 ▲10 ▲7
採算状況 ▲41 ▲48 ▲49 ▲1
資金繰り ▲40 ▲43 ▲49 ▲6
設備 19 18 15 ▲3
人手 13 ▲3 ▲5

表2  (%ポイント)

  日銀短観
(中小企業)
同胞企業定期景況観測 比較
景況 ▲42 ▲51 ▲9
仕入価格 ▲7 ▲10 ▲3
資金繰り ▲16 ▲49 ▲33
設備** 17 15 ▲2
人手*** 18 ▲3 ▲21
      →「業況判断」
**   →「生産・営業用設備判断」
***→「雇用人員判断」

 全般的には7項目(後述の調査内容参照)のうち、6項目が前期比で悪化傾向を示し、2期連続マイナスも5項目(表1参照)。同胞企業が継続して厳しい状況にあることが明らかになった。

 日銀短観(2001年9月調査)と比較(表2参照)しても、すべてマイナスで、一般の中小企業より同胞企業がいかに悪いかがわかる。

 業種別にみると、飲食業と遊技業はすべての項目で前期比マイナスとなった。とくに飲食業の落ち込みが激しい。土木・建設業は前期まで非常に悪かっただけに、今回はすべての項目で前期を上回った。

景況

 景況DI(「良くなった」―「悪くなった」)は前回とほぼ同じ▲(マイナス)51(前回は▲52)。来期見通し(「良くなる」―「悪くなる」)は▲60とさらに悪くなると見ている。

 業種別では、飲食業が▲63と一番悪かった。

売上高

 売上高DI(「伸びた」―「落ちた」)は▲44。前期と比べた売上高伸び率は▲14%だった。来期見通し(「伸びる」―「落ちる」)は▲49。

 業種別にみると、飲食業の売上高DIは▲67と最も悪い。前回調査時の今期見込みについても▲50ものズレが生じた。飲食業の売上高伸び率は前期比▲25%、見通しは▲39%。BSE(狂牛病)の影響が売り上げにはっきり現れた形だ。

 一方、土木建設業はマイナスではあるが、前期比で26ポイント改善した。

仕入と採算

 仕入価格DI(「上がった」―「下がった」)は▲10で、来期(「上がる」―「下がる」)は▲8。

 採算状況DI(「良くなった」―「悪くなった」)は▲49。来期の採算状況DI(「良くなる」―「悪くなる」)は▲51で悪化傾向が見込まれる。業種別では飲食業が▲63と悪い。来期見通しも飲食業が▲65で最悪。

資金繰り

 資金繰りDI(「良くなった」―「悪くなった」)は▲49。来期の資金繰りDI(「良くなる」―「悪くなる」)は▲57で、さらに悪化傾向が見込まれる。

 ここでも飲食業は今期▲74、来期▲79と著しく悪化している。

設備と人手

 設備DI(「足りない」―「余っている」)は15で不足という結果。来期(「足りない」―「余る」)も11で不足傾向が見込まれる。

 業種別では、遊技業が今期(29)、来期(24)とともに設備の不足感が強い。

 人手DI(「足りない」―「余っている」)は▲3。1、2回目に比べて初めて人が余っているとの結果になった。来期DI(「足りない」―「余る」)は▲7。

 業種別に見ると、飲食業は前期まで人手不足であったのが、今期▲26、来期▲26と過剰感が一気に強まっている。

 【調査対象】東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫、京都、福岡の各商工会の法人会員から270法人の経営者。調査方法は面接。

 【調査内容】@景況判断A売上高B仕入価格C採算状況D資金繰りE設備F人手の7項目。昨年7〜9月期を基点に前期比の状況、来期の見通しを調査。

 【注】DI(diffusion  index)は景気判断指数などに用いる。A―Bで計算。単位は%ポイント。景況と売上高、資金繰り、採算状況のいずれも、DIがプラスであれば好転、マイナスであれば悪化と判断できる。仕入価格はプラスであれば上昇、マイナスであれば下落。設備と人手は、プラスであれば不足、マイナスであれば過剰と判断できる。

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