春・夏・秋・冬

 音楽家の坂本龍一氏が監修した「非戦」(幻冬社刊)を読んだ。いや、いっきに読まされてしまった。昨年9月11日、ニューヨークで起きた事件に対するブッシュ政権の報復攻撃に、「ノー」の意思表示をする各国の人たちの思いをまとめたものだ

▼「人を殺すな」「生き物を自分の利益のために殺すな」「子どもたちの生きる権利を奪うな」――、この3つが文章を寄せた人たちの共通項である。白人もおればアラブ人もおり、さらにアジア人、黒人と、キリストをイスラムを信じる、世界に存在するあらゆる人たちが報復攻撃に「ノー」の声を上げている現実に、正直いって驚かされた。また、本当に多くの人たちが平和を願い理不尽な大国の横暴に怒り、その本質を見抜いて行動していることについても

▼その中に、アフリカの(どの国かは明らかにされていないが)新聞に掲載された「今日もまた、3万5615人の子供たちが飢餓で死んだ」と題する投書が紹介されていた

▼「場所 この惑星の貧しい諸国で/特集号  なし/新聞論説 なし/共和国大統領のメッセージ なし/非常招集 なし/連帯の表明  なし/黙祷 なし/犠牲者追悼式 なし/フォーラムの開催 なし/教皇のメッセージ なし/株式市場 変わらず/ユーロ相場 回復/警戒水準 変わらず/軍隊の移動 なにもなし/犯罪を識別する推測 なにもなし/可能性のある犯罪の委任者 豊かな諸国家」

▼10億人に満たない人間が世界の富を独占する現実。それが昨年9月に象徴される、米国を相手にした事件の背景にある。(彦)

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