朝高卒業生の就職斡旋

東京中高と同胞センター、3年目迎えた共同事業

今年度パンフには40社掲載、求人側の同胞企業にも好評


 東京朝鮮中高級学校では東京都同胞生活相談綜合センターに設けられた東京同胞就職委員会と協力し、卒業生の就職斡旋事業に力を入れている。不況が続く中、就職難は高卒生にとっても深刻な問題だが、3年前から始まった取り組みは着実に実を結びつつある。

企業説明会も

 もちろん過去にも、進学せず就職を希望する生徒たちに対して就職斡旋が行われなかったわけではない。高3の担任教師らはさまざまな人脈をフルに使い、親身になって生徒たちの就職先を紹介してきた。しかしそれは、あくまで教師と同胞企業家との個人的なつながりにもとづくもの。全組織をあげて取り組む生徒受け入れ事業に比べるとシステム化されていないという弱さは否めなかった。

 「子どもたちを受け入れた以上、その後の進学、就職まで責任を持って送り出すのが私たちの役目」と話すのは、同校で就職問題を担当する康景翊教員だ。朝鮮学校には総聯という組織がある。そのネットワークを活用しない手はないというのがそもそもの発想だ。

 そして一昨年2月、東京同胞就職委員会と合同で、卒業生のための同胞企業説明会を初めて開く。ここには同胞企業6社が参加した。このような説明会をはじめとした共同の努力により、朝高卒業生の受け入れを希望する同胞企業を前年の2倍も発掘した。

 昨年度は、同胞企業約20社の求人情報を集めたパンフレットを作成。12月末までには就職を希望する生徒約70人に配布し、1月から実際の面接やセミナー参加などを進めていき、20余人の卒業生がこのルートで就職先を確保した。

 今年度はトンポ就職情報センターも協力し、パンフ掲載企業は約40社に増加した。就職希望者は約50人で、昨年度以上の実績を目指している。2月には、3回目の企業説明会も予定している。

業種開拓に努力

 この間、就職を決めた生徒や保護者からの評判、また実際に卒業生を雇用した企業からの評判もともに上々だという。

 保護者、学校としては、まだまだ若い卒業生たちの就職先としてやはり同胞企業という安心感があり、同胞企業の側でも、とくに幹部候補生を育てたい場合、ぜひ朝高生をと希望するケースも多いという。そうした双方のニーズが一致した結果だと言えよう。同校でこうした取り組みを進めていることを聞き、自ら参加を求めてきた企業もあるという。

 また生徒たちのニーズに応じて、遊技業、飲食業、金融・不動産という従来の同胞企業イメージとは違う新たな業種も積極的に開拓している。とくに近年人気なのが美容師で、昨年度、同胞の美容室経営者を新たに数カ所確保し、すでに数人の卒業生が働きながら国家資格取得を目指しているという。

 康教員は「卒業生の多くが就職する日本の工業・商業高校の教師に聞いたところ、ここ数年、就職先が決まらないまま卒業する生徒がだいたい7割近くもいるという。わが校では、基本的にそのようなことはない。今後も生徒たちのために努めていきたい。今後の課題としては、やはり業種の拡大と、就職する生徒たちに対する教育、指導をより充実させること。また今後、関東のほかの朝高との横のつながりも必要になってくるだろう」と話していた。

 一方、東京同胞就職委員会では、この事業を、新卒のみならず同胞全体への就職斡旋事業に広げていくためのステップとしても考えてきた。3年間で築いた一定の土台を踏まえ、同委員会では現在、初めて一般同胞向けの求人情報資料を作成しており、近々各支部単位の同胞生活綜合センターに配布する予定だ。(韓東賢記者)

 【問い合わせ】東京都同胞生活相談綜合センター・東京同胞就職委員会TEL  03・3945・1177

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