高句麗、百済との交流史を大切に
平山郁夫氏語る
東京芸術大学学長に6年ぶりに就任した日本画家の平山郁夫氏(71)が、7日に開かれた「日韓文化交流平山郁夫・金興洙二人展」であいさつし、高句麗壁画古墳のユネスコ世界遺産登録に向けて力を尽くしたいと語った。
平山さんは広島で原爆にあい、咸興出身の金興洙さん(82)は日本の植民地支配末期、東京美術大学(現・東京芸大)に留学中だったが、「学徒出陣」を忌避して卒業証書を手にできないまま故郷に帰った。 芸大の先輩・後輩という二人展だが、平山さんの絵は日本画の伝統に基づく厳粛で荘厳な絵。金さんのは抽象と具象を同時に追求するハーモニズムに基づく。両者の異質な個性的な画風に観覧者を強く引きつけていた。 平山さんは二人展の開会式であいさつに立ち、今年も高句麗古墳壁画の世界遺産登録のため、平壌を訪ねると述べながら、次のように語った。 「私の作品と高句麗壁画の関係は深い。1967年の院展に私は『卑弥呼擴壁幻想』を出品した。この作品を描くに当たって、高句麗壁画を研究し、卑弥呼を描く際には水山里古墳壁画の女性像を参考にした。そして、それから5年後の72年、偶然にも、高句麗壁画の強い影響を受けた高松塚古墳が発見され、その模写班の責任者に就任したことがある。古代日本のあけぼのに、高句麗や百済にたいへんお世話になったことを日本は忘れてはならない。東アジアと南北朝鮮の平和への祈りをこめて、微力を尽くしていきたい」 金さんもあいさつで、欧米の芸術になびく現状を嘆き、東洋の精神に立ち戻るべきだと情熱を込めて語った。 |