朝鮮代表 国連総会での発言

テロ後の国際情勢


 昨年秋の国連第56回総会(ニューヨークの国連本部)で、朝鮮代表は国際社会と協調してテロに反対する姿勢を示す一方、テロを口実に米国が「ミサイル防衛」システムを構築して世界で軍事戦略的優位を占めようとしていることや、軍国主義化を進める日本に対して強い警鐘を鳴らした。演説の主要部分を整理、紹介する。(朝鮮通信)

国連は大国の支配主義実現に特別な注意を

 国連は、大国が弱小国の自主権を威嚇し、紛争問題を支配主義実現の目的に利用できないよう、特別な注意を向けるべきである。

 人類の平和偉業を実現するためには、核軍縮が実現されなくてはならない。核兵器保有国は、核兵器撤廃へのスケジュールを提示するなどの実践的な措置を取ることにより、全般的で完全な軍縮を目指すための信頼を築くべきだ。

 国際関係においてこんにち、大国の強権行為が黙認されているにもかかわらず、小国の自衛的措置は制裁と圧力の対象になっている。

 このような不公正と2重基準をなくすためには、国連の主導的役割、とくに総会の機能と役割を決定的に高めなくてはならない。

 総会は国連の最高機関として国際平和と安全に関連する問題を最終的に決定し、他の機関で国連加盟国の意思に反する決議が出ないようにすべきだ。

 この問題を国連憲章に関する特別委員会で討議し、当該の勧告を総会に提出する必要がある。(01年9月26日)

米日、「ミサイル脅威」でっちあげ対朝鮮敵視政策

 恒久的な国際平和と安全を守るためには力の政策と干渉行為を終息させることが必須だ。

 こんにち、世界の安保に対する主たる挑戦の1つは「ミサイル防衛」システムの構築企図である。このシステムが追求する目的は明らかに絶対的な軍事戦略的優位を占めることによって世界を制覇することにある。

 米国が「ミサイル防衛」システム構築の口実としてわれわれをあげている以上、われわれはこれに対応して強硬な措置を取らざるをえない。

 国際安保、とくに東北アジアの安保状況に今一つの影を落としているのは、日本の軍事大国化騒動と軍国主義復活企図である。ここで注目されるのは、日本が米国と共助し、「ミサイル脅威」と称して対朝鮮敵視政策を執ように追求していることだ。

 主要核保有国は、核軍縮の公約を実践に移し、世界の強固な平和と安全保障に寄与すべきである。また軍縮および国際安全分野において国連の中心的役割を高めることが重要だ。(10月17日)

日本、歴史わい曲し、侵略の夢実現へ

 日本政府は「新しい歴史教科書をつくる会」の中学校歴史教科書を検定で通過させた。この教科書は「朝鮮半島脅威説」で朝鮮を併合すべきだという思想を鼓吹しており、侵略と略奪の歴史を「開発の歴史」「支援の歴史」にわい曲しており、朝鮮で数多くの資源を略奪し、数100万人の朝鮮人を強制連行して酷使し、朝鮮人民の言葉と文字、姓名までも奪い、朝鮮民族を抹殺しようとした事実をわい小化した。

 歴史的事実を隠ぺいした教科書を使わせようとする日本の極右反動階層の目的は、新しい世代に国粋主義と民族排他主義を注入して侵略的な「大東亜共栄圏」の夢を実現し、日本当局と軍部が働いた特大級の反人倫犯罪行為を覆い隠すことにある。

 日本当局者がかつてアジアの人民に働いた犯罪を心から清算しない限り、日本はアジア太平洋地域で最大の不安定の根源になる。(10月22日)

非常任理事国増やし、国連安保理の民主化を

 国連・安全保障理事会(安保理)の構成において理事国数を増やして地域別に同等な代表権を保障する問題は、現在論議されている安保理改革の基本をなし、また安保理の範囲を越えて国連全般を民主化するうえでもキーポイントとなっている。また、安保理改革をスムーズに進めるためには、すべての問題が全国連加盟国の十分な協議を経て合意される必要がある。

 安保理の構成、拡大において、基本は発展途上諸国の代表権を高めることだ。朝鮮代表団はさしあたり、安保理の非常任理事国を大幅に増やし、これに主として発展途上諸国を受け入れることを主張する。

 常任理事国拡大問題により慎重を期するよう主張する。常任理事国の拡大が国連の民主化と理事会活動の有効性を高めるうえで実質的な助けになるのか、あるいはその反対の結果をもたらすのかを慎重に検討すべきだ。

 ところが、拡大問題が合意される以前に個別の国名をあげて常任理事国候補の資格を論議するのは順序が逆である。

 まして、自国が犯した反人倫的行為をいまだに清算しないでいる国の常任理事国資格についてうんぬんするのは、改革の目的にも合致しない。(10月31日)

テロ根絶に全力、国際協約にも加盟

 現在のように国際的な反対を無視し、「ミサイル防衛」システムの樹立を強行して戦略的安定を破壊し、絶対的優位を占めるための一方的な強権行為が許されるなら、世界は再び「冷戦」と軍拡競争に巻き込まれるだろう。

 ありもしない「北朝鮮の脅威」を口実に朝鮮半島周辺に展開された核兵器などの膨大な武力がわれわれを常時威嚇している。これは朝鮮半島とアジア太平洋地域の不安定を生み出す根本的な要因だといえる。

 北南共同宣言を履行して朝鮮半島の平和と統一を成し遂げるためには、北と南が民族自主の立場に立ち、米国の対朝鮮敵視政策と干渉が終息されるべきである。

 南朝鮮からの米軍撤退は、朝鮮半島だけではなく、北東アジアの平和と安全保障のための一刻も後回しにできない焦眉の問題だ。

 あらゆる形のテロとそれに対するいかなる支援にも反対するのは、朝鮮政府の原則的で一貫した立場である。

 9月11日、米国で発生したテロ攻撃は、きわめて遺憾で悲劇的な事件としてテロの深刻さを改めて想起させている。

 現在、米国がアフガニスタンに対して行っている軍事攻撃によって情勢が不安定になり、類例のない人的・物的破壊をもたらす重大な状況が生じている。

 現情勢は、テロ防止分野において国連の主導的役割を決定的に強化し、すべての国連加盟国がテロ除去のために自らの民族的義務を徹底して履行することを求めている。

 われわれは、主権の平等を主張する国々にみだりにテロのレッテルを貼り、一方的な武力干渉と制裁などで自主権を侵害し、人民に耐え難い苦痛を強いる行為を決して許してはならず、テロの闘争方法において罪のない人民が殺害されたり地域の情勢と安定を破壊する武力行使や戦争の方法は、いかなる場合にも正当化されえないと認める。

 われわれがこのたび「テロ資金供与防止国際協約」に署名し、「人質反対国際協約」に加盟したのは、われわれが世界的にテロを根絶するため、可能なすべての努力を尽くしていることを実証している。

 朝鮮は自主、平和、友好の理念を高く掲げて国連の目的と原則を固守し履行するため、すべての国連加盟国と引き続き積極的に協力していく。(11月13日)

日本語版TOPページ

 

会談の関連記事