春・夏・秋・冬

 新年劈(へき)頭から来年の話をすると、鬼が笑うかもしれないが、各紙誌を読むと今年は来年2003年、日本社会を襲うであろうクライシス(恐慌)の序章、前段階と観測する専門家たちが多い。何とも不気味、嫌な年明けである

▼その根拠として、未来図を提示できない小泉改革の行き詰まり、とりわけ金融界のペイオフ後の大混乱が引き金になると指摘する向きが圧倒的だ。そういえば、友人たちからの年賀状にも「試練の年」という表現が目についた。だから「冷静に状況を見極めようとも」

▼思慮が足りなければ、人間というものはどうしても目先のことにとらわれがちになる。われわれの今の生活、社会が小さな1つ1つの積み重ねによって、営々と築き上げられてきたことを忘れてしまうのである。そこから生まれるものは暴力であり、敵視であり、争いでしかない。非生産の迷路に入り込んで出られない

▼目を世界に向けても、同じような状況だ。紀元前、ハムラビ法典の「目には目を、歯には歯を」を地で行く米ブッシュ政権の横暴さには、さらに拍車がかかっている。アフガニスタンの次の標的はソマリア、いやイラクだとかまびすしく、血に飢えた狼のように手ぐすねを引いている状態だ

▼そのブッシュ政権に忠実なる日本も、夫婦喧嘩の末の狂言を真に受けて、れっきとした国際社会の一員である朝鮮の船舶に土足で踏み込んで検査する暴挙を働き素知らぬ顔をする有様だ。理性のかけらもない。その横暴さは戦前の朝鮮、中国侵略のそれと何ら変わるところはない。(彦)

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