春・夏・秋・冬

 新年を迎えるたびに、今年こそ平和な1年であってほしいと願うのがならわしになった。今年はとりわけその感が強い。21世紀の最初の年である昨年に起きた出来事が、そういう思いをかきたてるのだろう

▼新年早々、多少希望が持てる写真が各紙に掲載された。パキスタンのムシャラフ大統領が、インドのパジパイ首相に対話を呼びかけ壇上で握手しているシーン。先日行われた南アジア地域協力連合首脳会議の1コマだ。両国はカシミール問題をめぐって緊張状態にあるが、両首脳の握手はその緩和に取り組む姿勢をアピールしたものと受け止めたい

▼握手とは、「あいさつとして、また親愛・和解のしるしとして、手を握り合うこと」と「広辞苑」にはある。転じて「和解すること、協力すること」の意味にもなるとされる。同胞たちにとっては、金正日総書記と金大中大統領が初めての出会いで交わした握手が印象的だ。別れ際には、その握手が抱擁に変わっていた。北南対話の進展ぶりを象徴するシーンだった

▼考えてみれば、スポーツの試合の後、互いの健闘ぶりをたたえ合う意味を込めて握手を交わす。けんかをした者同士でも、握手を交わせばわだかまりが溶ける。今、地球上で起きているさまざまな出来事もそんな風に考えてみてはどうだろう

▼いろいろわだかまりもあろうが、まず握手する。そして互いに分かり合うまで話し合う。言いたいことをぶつけ合う手段は言葉で。そこからきっと信頼が生まれるに違いない。理想かもしれないが、その理想が地球を動かす、そんな1年であってほしい。(聖)

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