商品総額1億5000万円・焼肉フェスタ2002
関東近県の同胞焼肉店で開催(4月27日〜5月26日)
13商工会が全面バックアップ
焼肉フェスタ2002(同実行委=朴泰道委員長)が、4月27日から5月26日まで、1都11県の同胞焼肉店で開催される。 今フェスタは、東京をはじめ、神奈川、西東京、千葉、埼玉、群馬、栃木、茨城、静岡、新潟、宮城、長野、愛知など13商工会が共同で推進し、参加店には、ポスターを張り、チラシが置かれる。 昨年、日本中を駆け巡ったBSE(狂牛病)騒動により、牛肉を扱う飲食業界は深刻な打撃を受けた。中でも飲食店のほとんどが焼肉店という同胞業者にとっては、一時の騒ぎに留まらず、生死にかかわる問題にまでなりかねない状況となった。 今フェスタは、昨年のこうした状況を打開し、同胞飲食業界を少しでもサポートしようと、商工会が全面バックアップして推し進められるイベントで、商品総額は約1億5000万円にのぼる。 期間中、参加店に来店した顧客には、抽選で豪華海外旅行、お食事クーポン券などが当たり、スクラッチカードを削りその場で当たる賞品もたくさん準備されている。 参加店募集は今月中旬からで、現在2000店を目標に準備中だ。 業界の低迷は続かない 焼肉フェスタ2002 朴泰道実行委員長に聞く 焼肉業界を盛り上げようと13商工会が共同で推進する「焼肉フェスタ2002」が、関東近県の各焼肉店で開催される。今フェスタの実行委員長を務める、「叙々苑」の朴泰道社長に、今年の焼肉業界の展望などについて話を聞いた。 ――昨年、焼肉業界は、大変厳しい試練を迎えたが、今年も続くのか いわゆる「狂牛病」騒動だが、私はこれを、テロにあったようなものだと言ってきた。 一種の社会現象にまで、騒ぎを広げた責任は、やはり日本政府にあるし、また、マスコミもそれをあおった責任は大きい。きちんとした検査は、当然必要だ。しかし、その後の対応が大変まずかったと思う。繰り返し流れるセンセーショナルな映像に、消費者は牛肉そのものへの恐怖を植え付けられてしまった。 今でも業界全体を見ると、半分も回復していない。 確かに、まだまだ、厳しいと思う。しかし、「狂牛病」そのものにおける焼肉業界の低迷は、長くは続かないと見ている。 見通しとしては、1月、2月を持ちこたえれば、3月からは徐々に上向きになる。この3月がキーポイントだろう。 飲食店は、やはり味が勝負。だから、この冬を持ちこたえれば、消費者の舌は、必ず覚えていた味を求めて戻って来る。 ――今回のことは、もう1つの側面から、焼肉業そのものを見直す機会になったという同胞もいるが もうずいぶん前になるが、タクシーに乗った時、運転手においしい焼肉屋を教えてほしいと話しかけたことがある。すると店の名前を言いながら「あそこは、在日朝鮮人がやっているからおいしい」と聞いて、嬉しくなった。だが、「味はいいけど、店が汚い」と付け加えた。 その時、私は思った。私たちの舌は、子どもの頃から食べなれている朝鮮料理の味をきちんと覚えている。これは、日本人には、絶対出せない。後は、それに手を加えればいいと気付いた。 だから、私がセミナーなどで話すのは、いつも店を磨いて、キムチ1つ、カルビ1つどう出すかに気を配るべきだということだ。 かつて、焼肉屋はしんどくて暗いイメージがあった。そんな職業を子どもは継ぎたがらない。お客も同じだ。一時去っていった客が焼肉を食べたいと思った時、今にもつぶれそうな店では、戻って来ない。 知恵を絞って、客を取り戻す努力が必要だ。 ――今後の展望をどう見ているか 焼肉業界で「徐々苑」も大変だというニュースが一気に駆け巡った。でも、私は自信を持っている。 「焼肉」は、栄養のバランスもさることながら、男女、家族連れ、老若男女が、コミュニケーションを取れる食べ物。もはや1つの食文化をなしている。 この「焼肉」こそ、在日同胞にとって基幹産業であり、1世がつくった偉大な財産、文化だと信じている。私たち同胞は、この財産を守っていくべきだ。 一時のテロなどに屈してはいけない。 今後は、企業化が進むなかで私たち同胞も、その先のサービスという点を考え、接客と店作りで客をよび、味で顧客をつけ、客を増やしていく努力が必要だ。 また、同胞焼肉業界全体の発展のために、今フェスタに多くの同胞店が参加し、盛り上げていこう。(金美嶺記者) |