WBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ  V3達成した洪昌守

洪先輩は私たちの誇り

やっぱりわれらが班長

苦闘の末、最強挑戦者のペニャロサを破った洪選手 大声援を送る5000人の応援団

 「本当に苦しかった。強い相手で。何度もあきらめようとしたけど、そのたびに大声援に助けられた」――共和国労働英雄、人民体育人であるプロボクサー洪昌守選手(金沢ジム)が、これまでにない苦しい一戦を闘い抜き、見事タイトルを防衛した。24日、横浜アリーナで行われたWBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ(12回戦)で、チャンピオンの洪選手は同級1位のジェリー・ペニャロサ(フィリピン)と対戦。3―0で判定勝ちし、V3を達成した。洪選手の右手が上がった瞬間、場内にはどよめきともいえる「ホン・チャンス」コールが響き渡った。「われらの願い」の大合唱に、洪選手は何度も手を振って応えていた。

 ボクシング人生で初めて右のまぶたに傷を負った洪選手。それほどの苦しい闘いを強いられながらも、5000人にのぼる同胞大応援団の声援に支えられた。

 1万7000人を収容できる会場には、「朝鮮青年の気概を示せ」「目指せ! 連続防衛 我らの英雄ホン・チャンス」などの横断幕が掲げられた。応援団は試合開始直後から、「イギョラ(勝て)! ホン・チャンス」「プルタラ(燃えろ)! ホン・チャンス」の大合唱。ハーフタイムには朝鮮の国旗、白地に青の朝鮮半島が描かれた統一旗、そして洪選手が所属する朝青の旗などをはためかせた。

 洪選手がよろめくなど危い場面になると、応援の声は一段と大きくなった。泣き叫ばんばかりに声を張り上げる女性の姿も。とにかく、一分たりとも会場が静まり返ることはなく、どこかしらで「ホン・チャンス」の一声が発せられると、それがたちまち大合唱へと変わった。

 統一旗を振りながら応援に精を出していた朝大理工学部の慎泰廣さん(21)は、「不況などで同胞社会が苦しい状況にある中、洪選手の活躍は僕たちに希望を与えてくれる。これからも勝ち続けて在日同胞に力を与えてほしい」と話していた。

 会場には、洪選手の生活基盤である大阪からはるばる駆けつけた50人の若者たちもいた。

 彼らにとって洪選手は世界チャンピオンというよりは、朝青の兄貴的存在。洪選手が朝青大阪東成支部・太成班班長として朝青活動にも熱心に参加しているのは、今や有名な話だ。この日も、東成支部に所属する朝青員たちが20人あまり席に着いた。

 その一人、専門学校生の金泰碩さん(20)は、「やれば絶対に出来るというのが洪先輩の口癖。そこから学ぶ点が多い。今や東成支部の団結力の中心です」と話す。

 洪選手と同じように支部で班長を務める大学生の金起準さん(21)は、「最近はボクシング中心であまり朝青に顔を出せないけど、チャンピオンになったからと言って、きさくで人なつっこい性格は変わらない。だから、周りに人が自然と集まる。僕にとって昌守先輩は、ボクサーというよりは、いつまでも朝青の班長であり続ける」と語り、「今回は苦しいたたかいだったけど、気力で勝ってくれた」とエールを送った。

 「みんなに自慢できる存在」と話すのは日本の高校出身の短大生、卞怜奈さん(19)。洪選手が朝青活動でも最も力を入れていたのが日校生(日本の学校に通う同胞生徒)との活動だった。とくに、毎年夏に行われるサマースクール動員のために、何度も生徒の家を訪ね説得して歩いた。

 「雲の上の人かと思ったら、気さくに話してくれる。洪先輩は私たち在日同胞の誇りです」(卞さん)(文聖姫記者)

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