オンマの家計簿Q&A―韓鐘哲(16)

金融機関破綻で預金は?

銀行の場合、預金保険制度で保護


   最近では、銀行や証券会社、保険会社の破たんが珍しくなくなりました。わが家もわずかではありますが、銀行などに預金をしています。でも、もし金融機関が破たんしたとき、預けたお金はどうなってしまうのですか?  周りの方々に聞いてもみなさん「良くわからない…」という答えばかりです。詳しく教えてもらえませんか?

  この数年で、金融機関の破たんは珍しいことではなくなりました。しかし、もし金融機関が破たんしたら預けていたお金がどうなるのかということは、意外に知られていません。今回は金融機関が破たんしたとき、預けていたお金がどうなるのかを金融機関別に確認してみます。

 まずは銀行などが破たんした場合です。外国銀行の在日支店を除く、銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫などは「預金保険機構」の預金保険制度の対象となっています。この預金保険制度は、万一対象となっている銀行などが破たんしても、破たんした銀行などに代わって預金者の預金を保護する制度です。2002年3月末(当座預金、普通預金などは2003年3月末)までは全額保護する予定ですが、その後は破たん金融機関ごとに預金者1人当たり元本1000万円までとその元本にかかる利息の範囲で保護することになります。この元本1000万円とは、普通預金や定期預金など複数の預金をしている場合は、すべての預金の金額を合計した額です。また、一破たん金融機関の複数の本支店に分けて預金していた場合は、全店舗の預金を合計した額です。ただし、家族の預金は、夫婦・親子であっても、それぞれの名義で預金していれば、別々の預金者になります。銀行などで扱っているほとんどの金融商品は預金保険制度の対象になっていますが、外貨預金、譲渡性預金など対象とならない金融商品もあるので注意してください。

 つぎに証券会社が破たんした場合です。投資家が証券会社に預けたお金や有価証券は、証券会社自身が保有するお金や有価証券と分別管理することが証券取引法で義務づけられているので、基本的には証券会社が破たんしても投資家に損害が及ぶことはありません。ただし、証券会社の違法行為などにより投資家が預けたお金や有価証券の全部または一部が返還されない可能性があります。このような場合に生じた損失は、「投資者保護基金」が1人当たり上限1000万円まで補償するようになっています。また、証券投資信託の信託財産は、販売窓口である証券会社や銀行などが管理しているのではなく、投資信託の運用会社(投資信託委託会社)と信託契約を結んだ受託銀行(主に信託銀行)が信託財産として、受託銀行自身の資産とは別に保管管理しているので、販売窓口である証券会社や銀行などが破たんしても証券投資信託の信託財産には基本的に影響はありません。

 つぎに保険会社が破たんした場合です。保険会社が破たんすると破たん保険会社の保険契約はほかの保険会社または「保険契約者保護機構」に引き継がれることになります。ただし、保険料・配当・利回りなどの変更、保険金額の削減、解約返戻金の引下げなどの契約条件が変更される可能性があります。また、個人年金の積立金や個人保険の死亡保険金、損害保険の自動車保険・火災保険の保険金などは責任準備金(保険会社が将来の保険金などの支払いに備えるための積立金)の90%を限度に保護されますが、貯蓄性の高い一時払い養老保険などは大幅に削減される可能性があります。

 最後に郵便貯金や国債についてです。郵便貯金は預金保険制度などの対象になっていませんが、郵便貯金法第3条(国の保証)で、「国は、郵便貯金として預入れされた貯金の払戻しおよびその貯金の利子の支払いを保証する」と明記されているので、貯金者に対しては日本国が元本と利息を保証しています。また国債については発行体が国であるため、日本国が元利金の支払いを保証していることになります。
(ハン・ジョンチョル  ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)

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