「日々平和に暮らしたい」
映画『梅香里―メヒャンニ』の西山正啓監督に聞く
南朝鮮駐屯米軍射爆場がある村―梅香里(メヒャンニ、京幾道華城郡)をテーマに、日本人監督がこのほど映画を完成させた。梅香里住民、そして米軍犯罪被害者の支援を行っている女性たちの闘いを描いたこの映画は、米軍による実弾砲撃演習が行われている大分県湯布院、日出生台の住民たちによる「ローカルNET大分・日出生台」が上映委員会をひきうけた。日本市民らの自主的な活動によって日本各地で上映会が開かれている。(金香清記者 写真提供―「梅香里」上映東京事務局) 固い信頼関係 ―この映画は湯布院町に住む人々が、制作費を出しあったそうですね。湯布院の住民と梅香里の関わりについて教えてください。 1996年米兵による少女暴行事件以降、沖縄では反基地運動が勢いを増した。米軍はそれを機に実弾砲撃演習を、一部本土で行うことを決めた。99年から湯布院に隣接する日出生台で演習が行われるようになった。それをきっかけに住民らの中で、沖縄の米軍基地問題について関心をもつようになった。沖縄では既に「韓国」の米軍反対運動をしている人たちの交流があり、湯布院の人たちも梅香里問題に目を向けた。 特にここ5年くらい梅香里、湯布院の人々がお互いに行き来し、米軍基地問題を一緒に考えるようになった。最近は沖縄で行われている「人間の鎖」が梅香里で、「韓国」米大使館前で毎週行われている「金曜集会」が沖縄で行われるようになった。こういった交流でお互いの信頼関係が生まれている。「平和に暮らしたい」という共通の目標があっての信頼関係だ。 最近、日本から「韓国」に観光へ行く若者が増えているが、こういうお金任せのものでは本当の理解は得られないと思う。 統一に水さす米 ―南朝鮮での反米運動の近況について教えてください。 去年の6.15を契機に一気に盛り上がった。米国は朝鮮民主主義人民共和国を「敵国」とし、「日本、韓国を守る」という名目で基地を置いている。「守る」と言っている米軍が、実際には住民を苦しめているという事実に、異議を唱える事が「韓国」では「国家保安法」があるため、困難なことだった。しかし南北両首脳が握手し、統一が現実的な問題として展望が開けた今、「守る」という大義名分は消え、米軍駐留に反対する声はさらに高まった。地道に反米運動をしてきた人々の努力が、ここに来てやっと実った。 梅香里の住民が「韓国政府」を相手取り米軍基地による被害の損害賠償を訴えたところ、今年の4月、一審で勝訴した。これは世論の反映だ。裁判所も梅香里住民の苦しみを認めざるを得なくなったのだ。 去年の6.15が全ての動きを後押ししている。そしてアメリカが統一のムードに水を差しているということを、民衆も気づいている。南北の統一の実現が近づけば近づくほど「韓国」にはもちろん日本にも米軍は駐屯する理由はない事に気づかされるのだ。 出会いが力
―監督が出会った南朝鮮の人々について聞かせてください。 梅香里住民対策委員会の全晩奎委員長はとても謙虚でおだやかな人だった。なおかつ強い人だった。 地域や家族を守りたい一心で行動を起こした人だ。運動のための運動ではない。 また駐韓米軍犯罪根絶運動本部の鄭柚鎮さんも強くて優しい人だ。その優しさがあるから、人の苦しみや痛みが分かるのだと思う。こういう人たちとの出会いが私に力を与えてくれる。またこういう人々がいることをみんなに伝えたいという気持ちが映画を作る原動力になる。 △上映日程 9月21日―福岡市福祉プラザ、27日―沖縄・名護労働福祉センター 10月6日―東京・新宿区角筈区民センター、12日―神奈川県民センター、19日―北海道・札幌かでる2・7、21日―石川・金沢市(詳細未定) 11月7日―福岡・福間町公民館ホール、10日―広島・広島市(詳細未定)、17日―東京・日野市七生公会堂、18日―福岡・北九州市女性センタームーブ、24日―福岡・九州キリスト教会館。 ※時間、場所などの問い合わせは上映事務局(TEL 03・3394・3734)へ。 |