第20回留学同祖国訪問団
参加者の感想から
8月10〜21日(長期滞在は9月3日)に行われた日本の大学・専門学校に通う同胞学生らの祖国訪問(主催=在日本朝鮮人留学生同盟中央本部)。今年は初めて、「民族文化スポーツ」「統一国家建設」「ウリマル短期留学」、このうち1つを選んで追加滞在する「長期滞在」の4コースに分かれて行われた。各コースごとに見て体験したこと、感じたことをつづってもらった。
民族文化スポーツコース→長期滞在 誇りをいっそう感じる 崔翔美(京都外語大3年) 私にとっては初の祖国訪問でした。京都朝高3年の時に修学旅行で祖国に行くはずでしたが、大学の受験シーズンと重なったため、残念ながら断念。そんなこともあって、人一倍の期待を持っての訪問でした。 私たちを乗せた「万景峰92」号が着いた元山から平壌までの道のりは田畑が一面に広がっていました。ゆったりとした時の流れの中で、力を合わせて農作業に取り組む祖国の人々の姿が印象深く残っています。 7世紀初頭に築かれた高句麗壁画古墳、江西(カンソ)三墓、その古墳内に描かれていた「四神図」は色、絵、そして建築技術のどれをとっても素晴らしく、民族に対する誇りをよりいっそう感じた瞬間でした。 各地を訪れ、多くの人々と触れあう中で思ったことは、祖国の人々が想像していた以上に普通の暮らしをしているということ。冗談を言い合ったり、恋愛の話をしたり…。日本での報道とはだいぶ印象が違うことを肌で感じました。 8.15民族統一大祝祭では、北と南、そして在日同胞を含めた海外同胞たちが「祖国統一」をともに叫び、1つになって歌い、踊りました。離ればなれになっていても民族が集えば、これだけ大きな力を発揮できるのです。そして何より在日の自分が、北や南の人々と喜びを分かち合えたことをうれしく思いました。 統一は北と南だけでするものではなく、私のような海外同胞を含む朝鮮民族が手を取り合って真の統一を成し遂げなければならないのです。今後、在日同胞のため、民族統一のため、自分ができることを探していきたいと思います。 統一国家建設コース 夢実現し統一に貢献を 金英姫(大阪女学院短大2年) 祖国訪問をしたいと思ったきっかけは、今年が学生として迎える最後の夏休みで、参加している留学同や朝青活動の正当性を確かめたいと思ったからです。 実際祖国を目で見ていろいろな事を体験したことで、自分自身を見つめ直すよい機会となりました。行く先々で自分に不足している点、未熟な点がはっきりと浮かんできました。中級部までとはいえ、民族教育を受けてきたにも関わらず、初めて知ることがあまりにも多かったのです。 朝鮮で1番高い山ということしか知らなかった白頭山が「朝鮮革命の聖山」であること、信川大虐殺がどのように行われたのか――。信川博物館に展示されていた写真や被害者の遺品を見て、知識としてだけではなく感情の面で受け止めている自分に気づきました。まさに「百聞は一見にしかず」。今回の訪問で改めて確認したこの言葉は、私にとって当分座右の銘になりそうです。 私は今まで、「祖国」や「祖国統一」を目の前に据えて留学同や朝青に参加していたとは決して言えません。しかし、統一に向かって進む平壌の雰囲気に包まれていると、どれだけ祖国の人々が統一を願っているかを知りました。そして、私たちのしていることは地味だけど、どれだけ重要なのかを教えられた気がします。留学同と朝青の活動に一生懸命参加し、自分の夢を実現することで、少しでも統一に貢献できるよう、精一杯がんばっていこうと決意しました。 私たちの訪問を温かく迎え、多くのことを教えてくれた祖国の愛に応えられる人間になりたいです。 ウリマル短期留学コース 不正確さ改めて気づく 金永宝(東京電気大3年) 中学校から日本学校に転校し、初級部の6年間しか民族教育を受けていない私は、ウリマルをろくに話せません。そこで、祖国訪問を通じて勉強しようと思い「ウリマル短期留学コース」を選択しました。実際、祖国での学習は基礎的なものでした。しかし、いざ基礎からもう一度勉強してみると、自分の使っているウリマルが意外と不正確なことに気づきました。ウリマルに対していかに無関心であったか、今さらながら知らされた思いです。 また、講師の方から、「祖国が統一した後、ウリマルを話せなくてどうするのですか」と言われましたが、まさにそのとおりだと思いました。 埼玉留学同のメンバーには、ウリマルを知らない学生がたくさんいます。その人たちがウリマルを習得するためには、私のように民族教育を受け、少しでもウリマルを知っているものが仲間をサポートしてあげなくてはいけないと強く感じました。 私は、今回の祖国訪問で3回涙を流しました。3回とも、心から私たちを迎えてくれる祖国の人々の温かさを感じた時です。日本に戻る時も、遠くからたくさんの人が走ってきて、泣きながら手を振り見送ってくれる姿を見て、やはりここが自分の国なのだと実感しました。祖国があるからこそ、今の自分がいるのだと改めて感じました。 私は日本に住んでいますが、留学同活動に積極的に参加して、たくさんの同胞学生たちに民族と祖国の大切さ、また言葉の大切さを伝えていきたいと思います。機会があったらまた祖国を訪問したい。 ウリマル短期留学コース→長期滞在 民族見い出し一歩前に 権東旭(同志社大3年) 今回、留学同祖国訪問団に参加したきっかけは、祖国を肌で感じたかったからにほかなりません。 私は一貫して日本の学校教育を受けており、残念ながら祖国に関して理解できないことがたくさんありました。知らないのではなく、理解できなかったのです。日本のマスコミに嘘偽りが存在するように、祖国に対しても目に見えることがすべてではないだろうという思いがありました。 でも、同じように疑心暗鬼になるのなら、そのような気持ちでいるよりは身をもって祖国のすべてを感じたいと思ったのです。 初めはいろいろなものに戸惑いました。祖国の地に自分が立っているという新鮮さとともに、この世界が「舞台のセット」であるかのような違和感も覚えました。あまりに否定的な目で祖国を見ていたこと、またウリマルを話せない自分がいることも手伝って、入ってくる情報すべてを受け入れられない、冷静さを欠いた自分がいると気づいたのは、祖国に着いて何日も経ってからのことでした。 サーカスを見ている人々の素直な笑顔を見たとき、8.15祝祭の閉幕式に参加し自分の中に民族を見い出せたとき、一歩前に踏み出せた気がしました。 まだ祖国についてすべて理解できたわけではありませんが、今は自分が朝鮮民族の一員であるかぎり、帰依する場所は祖国なのだと実感できます。 祖国は行ってみないと、絶対に自分の内面に入ってくることのない場所でした。でも、祖国を肌で感じたとき、新しい世界が確実に待っていると強く思えた旅でした。 |