「ピースボート」朝鮮訪問、平壌市民と交流

まずは過去の清算から、日本の歴史的課題を再確認


 【平壌発=金三泳、姜イルク記者】日本のNGOである「ピースボート」が組織した訪問団が8月30日から9月2日にかけて朝鮮を訪れた。「過去の戦争を直視し未来の平和を築く」ことを基本理念に活動する「ピースボート」の朝鮮訪問は1991年、96年、昨年に次いで4回目。今回の参加メンバーは、これまでの最大規模である516人で、学生、青年層を中心に政治家、経済人、文化人やマスコミ関係者、反核運動家など幅広い層が参加した。アメリカやドイツ、イギリスからの参加もあった。2日、朝鮮訪問の全日程を終えて南浦港を出航した「ピースボート」訪問団は仁川港に向かった。一行は南朝鮮を訪問(4、5日)、その後帰国の途につき8日、東京に到着の予定である。

「日朝問題」をディスカッション

 3泊4日の日程で朝鮮を訪問した「ピースボート」のメンバーは6つのグループに分かれて平壌市内訪問、一般市民の家庭訪問、農場訪問、学生交流、サッカー交流、妙香山参観などを行った。メンバーは市民との交流などを通じて日本のマスコミが伝えない朝鮮の「現実」と人々の「生活感情」を肌で感じたようであった。

 平壌滞在3日目の晩にはメンバー全員が人民大学習堂に集まり、テーマ別交流会を行った。

 テーマは「朝鮮統一」、「歴史教科書わい曲」、「日朝関係」、「東北アジア非核化」。

 参加者が最も多かった「日朝関係」に関する交流会では、朝鮮対外文化連絡協会のチョン・ユンヒ局長が発言した。

 「朝鮮と日本は被害者と加害者の関係にあります。日本が過去を清算して謝罪、補償することが朝・日関係正常化の前提条件、すべては日本側の態度にかかっているのです。たとえ関係正常化が遅れたとしても謝罪と補償は必ず実現させなければならないというのが、朝鮮人民の揺るぎない立場です…」

 過去の犯罪行為を反省しようとしない日本の政府当局の態度に対する怒りの声。メンバーは真しに聞き入った。

 「皆さんには、愛する家族がいることでしょう。でも植民地時代を生きた私にはそのようなものがありません。13歳の時、日本軍によって自由を奪われ、それから悪夢のような日々が続きました…」

 交流会では元「従軍慰安婦」のハルモニが体験談を語った。泣きながら自らの心情を吐露し、日本政府による謝罪と補償を訴えた。多くのメンバーが涙を流しながら「過去の戦争」の真実を心に刻んでいた。

友好の気持ちを前面に

 交流会に参加した佐藤静香さん(26)は「ハルモニの証言は私の想像を超えていた。学生時代、『従軍慰安婦』問題について学んだことがあるはずなのに、その内容をはっきりと記憶していないなんて日本人として本当に恥ずかしいことです。この問題は日本の歴史教科書に正確に記載されるべきです」と感想を述べた。

 辺見陽子さん(28)は「過去に日本は朝鮮に対してあまりにも大きな罪を犯しました。マスコミ報道を通じて、過去の清算を国交正常化の前提とする朝鮮の主張は大体知っていましたが、実際に国民の声を聞き、この問題を自分自身の問題としてより深く考えるようになりました」と語っていた。

 メンバーは平壌の市民と交流しながら、彼らの「対日観」をつねに意識したという。しかし市民たちは自分たちの国を訪れた日本人に対して友好の気持ちを前面に表した。

 「私たちが反対するのは日本の軍国主義勢力。過去には日本の人々も、その犠牲者だったではありませんか」

 「ピースボート」の今回の訪問は、民族の和解と統一に向けて歩みだした朝鮮の人々と直にふれあい、彼らの声に耳を傾ける事で、各メンバーが積み残した日本の歴史的課題を再認識する船旅であった。

 「ピースボート」共同代表の吉岡達也氏は「歴史教科書問題や首相の靖国神社参拝問題などで、過去の問題に対する日本政府の認識が明らかになった。日本に帰ったら、それらを厳しく追及し、政府の姿勢を是正するための活動を展開していく」と語り、今回の訪朝の意義を強調していた。

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