春・夏・秋・冬

 「肺炎」にかかった米国経済の余波、先行き見えぬ構造改革宣言に対する不信感が重なって、株価の下げ止まらない日本経済。「9月になれば、破たん状況を呈する」と、小泉政権誕生直後に断言していたある研究者の言葉を今さらながら思い出す

▼ソ連崩壊後、米国の圧力によって、国家が経済に関与・介入するという社会主義要素の一掃、つまり文字通りの自由主義経済への転換を迫られた日本は次から次へと市場の壁を崩して取り払ってきた。その結果がこんにちの状況である。今年50年を迎えるサンフランシスコ条約(米国)によって「独立国家」にしてもらった経緯からして無抵抗は仕方のないことか

▼こうした中、防衛庁は軍事力整備の基本計画「防衛計画の大綱」の見直しに着手するという。全容はまだわからないが、朝鮮、中国を念頭に置き「侵略阻止から緊急対応」型にその有り様を再編成するという

▼ブッシュ政権は、存在する政権そのものが気に食わないと朝鮮、イラン、イラク、リビアなどに対する「ならず者国家」の呼称を復活させたが、その予備軍、「候補国家」としてエジプト、インド、パキスタンとならんで中国、南朝鮮を上げていることを知っている読者は少ないと思う。同盟関係にある南朝鮮がなぜ、という疑問もわくが、それ以上にすべてがアジア・中近東という白人社会と異なる歴史的背景を持つ諸国であるということは驚きだ

▼「大綱」の見直しがこの米戦略に沿ったものであることはいうまでもないが、やはり日本は米国の「51番目の州」なのかも知れない。(彦)

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