報告書を読んで−皮進・鶴見支部委員長
求められる具体的な施策/内容を生かす取り組みを
調査報告書ではそれぞれの外国人が抱える問題をあぶりだしたうえで、今後「求められる取り組み」として課題をまとめている。県は課題を実行するための対応策を明確に提示すべきだ。84年にも調査は行われたものの、県や国の施策はその時と大きく変わっていない。調査が調査で終わってしまっては意味がない。
◇ ◇ 報告書では在日同胞に関わる課題もいくつかあげており、高齢者問題に関しては同胞高齢者の文化的、歴史的背景を考慮したうえで彼らが集える「場」作り、無年金同胞の福祉手当の充実、介護保険料の減額と減免措置を求めている。 民族教育に関しては、同胞子弟のアイデンティティーを育むうえで必要不可欠との認識を確認しながら、外国人学校に対する助成の充実、朝高卒業生の国公立大学への受験資格を認めるよう国に働きかけることを求めている。日本学校に通う同胞の子供たちが日本名を使用している深刻な状況についても、本名を選択できるようにするための積極的な取り組みを促した。 これらは国連機関や日本弁護士連合会などが日本政府に差別是正を勧告している問題で、県も自らが設置した外国人会議の提言としてまとめているものだ。 ◇ ◇ 県は外国人が置かれた状況を改善するための担当部署をつくり、より詳しい実態を調査し、具体的な措置を講じなければならない。また、年金差別や外国人学校の制度的保障は政府レベルでの解決が求められるだけに国に働きかけることも必要だろう。求められているのは実行力だ。調査結果を生かすため必死になってほしい。 報告書はニューカマーの問題にも多くを割いているが、在日朝鮮人の問題を正しく解決することが、ニューカマーが抱える問題を解決する糸口につながる。 ◇ ◇ このたびの調査には、20代、30代の同胞がメンバーに入り、同胞の聞き取りをしたと聞いている。証言を読むとその表情、怒り、苦悩、喜びが伝わってくる。同じ同胞としての温かいまなざしがそうさせるのだろう。 行政とタイアップして差別是正を促す人材が育っていることを喜ばしく思うし、このような人材が増えれば行政の外国人施策も充実していくだろう。 今年4月に神奈川朝鮮初中高級学校が創立50周年を迎えたことから現在、神奈川では朝鮮学校の処遇改善を求める3万人署名を進めている。権利を獲得するためにも調査報告書を活用しなくてはならない。県に行動を促す運動を進めていく決意だ。 |