統合から1年の名古屋初級
学父母、地域同胞が一体に
第2回トブロ祭り/「一口3000円愛校運動」を展開
アボジ、オモニらが声援を送る中、一生懸命歌う園児たち | 販売に余念のないオモニたち |
愛知第1、第2、第3初級学校が統合して昨年4月、新たに誕生した名古屋朝鮮初級学校(愛知県名古屋市)。現在、約170人の生徒、そして付属幼稚班に70余人の園児が通っている。同校の学父母たちはこの1年間、非常に厳しい財政状況下、自分たちの手で学校を支援していこうと「一口3000円(月額)愛校運動」を提案し、幅広い同胞に参加を呼びかけてきた。アボジ会、オモニ会によるゴルフコンペやキムチなどの販売に加えて、今月の11日には市内の久屋広場で「第2回トブロ祭」を開催し、学校運営の協力を内外に広くアピールした。
市街地で開催 「トブロ祭」は、李章哲校長はじめ教育会(李栄基会長)、アボジ会(鄭潤一会長)、オモニ会(丁未穂会長)のメンバーらによる祝祭実行委員会が企画し、500余人の同胞が集った。 「トブロ」とは、朝鮮語で「ともに」を意味する。学父母、地域の同胞と日本市民、そして祖国と民族とともに歩んでいこうという思いからつけられた。 来ひんとしてあいさつした「日朝教育、文化交流をすすめる愛知の会」の吉岡よしき副会長(県議)は、日朝国交正常化の早期実現のためには教育と文化の面で歩みよることが最も重要だと述べながら、「県内における友好関係の発展と在日の方々への支援を積極的に行っていきたい。アジアの平和のためにも朝鮮の統一実現へ向けて全力を傾けていく」と語った。 ステージでは、この日のために準備された芸術公演が次々と披露される。トップバッターに立ったのは園児たち。もじもじしながらも覚えたての朝鮮の歌を一生懸命に歌うその姿に、オモニらは一斉にカメラのレンズを向け、アボジらは声援を送った。 途中、どしゃぶりの雨が降り出し、一時中断したが、同校生徒らの合唱と舞踊部の舞、友情出演した愛知朝鮮中高級学校生徒らのコーラスと舞踊、女性同盟南、東海知多支部傘下のオモニたちによるサムルノリ、東海朝鮮歌舞団の公演などが最後まで行われた。 一方、オモニ会は、キムチやたこやき、ピビンパ、チヂミなどの売店を用意し、「トブロ祭」を盛り立てた。 「昨年と同じく市街の広場で開催したのは、名古屋初級の存在をアピールし、市民レベルでの朝・日友好、当校への支援を広く呼びかけるため」と李校長は語る。 意識の変化に 学校の運営費を補充するために1年前から行われてきた「一口3000円愛校運動」。教職員をはじめ学父母、市内の各支部が一丸となって一人一人に地道に呼びかけた結果、地域の同胞たちの間に広く浸透した。1年間に集まった金額は4000万円以上。456の個人と団体が賛同した。 また、学校の統合に伴いひとつになったアボジ会、オモニ会もゴルフコンペ、キムチや米、冷麦などの販売を通じて財政を補った。 オモニ会の丁会長(43)は「統合当初はまだ、愛知第1、第2、第3の時代を引きずったままでみんなの気持ちが分かれていた。でも、子どもたちのことを一番に考えて学校を支えていこうと何度も話し合う過程で心がひとつになった」 「NAGOYA」の頭文字「N」の刺しゅうが胸の中央に入った真っ赤なオリジナルエプロンをそろえたり、役員らが居住地の父母らを訪ね、学校運営に関する意見を聞いて反映した。子どもを民族の一員として育てるうえでの悩みを協力して解決するための講演会も企画。みんなで知恵を出し合っているという。 アボジ会の鄭会長(45)は、オモニ会を称えながら、「私たちのモットーは、子どもと遊ぶ機会を多く持ち、アボジ同士の交流を深め、会の活動を習慣化する。この3つです」と語った。 「一口3000円愛校運動」は今後も続けられる。より多くの資金確保と校内設備の整備、現在10台ある通学バスの買い替えが目標だ。また現在、県と市合わせて年間1000万円の助成金が同校に支給されているが、その引き上げと未支給自治体への要請を活発に行っていく予定だ。(李賢順記者) |