医療−最前線
チーム医療
報道によると虫垂炎(盲腸)で4年前に手術をした8歳の子供が腹痛を訴えて病院に運ばれた。レントゲン撮影の結果、腹部に異物があることが分かり再手術を受けてチューブを取り出して退院したという。通常、虫垂炎ではチューブは使わないが、腹膜炎などを併発している時は膿、廃液などを抜くためにチューブを使う。チューブは術後1週間ぐらいで抜くが、子供なので暴れたりして途中でハサミで切ったのかもしれない。常識では考えられない事だ。しかし、この子供は4年の間、ちょくちょく腹痛を訴えたというが、病院でなぜ、レントゲン撮影を行わなかったか、疑問が残る。
会社で仕事を行う場合、よくチームワークという言葉が使われるが、医療の現場で言うチーム医療も同じである。とくに人命がかかる手術の場合はこれがより重要だ。大掛かりな手術になると何人もの医師と介助者が立ち会う。私の勤務する病院では通常、虫垂炎の手術に医師2人、直接介助者1人、間接介助者1人、外回り1人が立ち会う。 医師は患者の状態を確認しながら手技を行う。介助者は医師の指示に従い手術の器材を提供(器械出し)し、手技を補助する。介助者は医師の指示通りに手術を補助しながら使った針、鉗子類などの数は確認(カウント)する。 このように行えば、普通、鉗子などを体内に忘れたなどという事は考えられない。反対にチームワークが悪ければ医療ミスなどが起こりやすい。これは何も医療現場だけではなく、他の仕事でも同じ事が言えるのではないだろうか。(李秀一・医療従事者) |