在日本朝鮮人人権協会代表、国連人権小委で発言

朝鮮学校差別は不当、日本政府は国際条約違反


 7月30〜8月17日にジュネーブの国連欧州本部で開かれた第53回期人権促進保護小委員会(人権小委)に、在日本朝鮮人人権協会の代表が参加。日本政府による朝鮮学校差別政策の不当性について訴えた。

今後も取り組みを

 今回、ジュネーブを訪れたメンバーは柳光守会長、白盛基副会長(在日朝鮮人群馬県教育会会長)、同教育会の金載英副会長、群馬朝鮮初中高級学校の尹淳培校長、中央教育会の鄭秀容副会長、殷勇基、梁英哲の両弁護士、朝鮮大学校政治経済学部法律学科3年生の黄慈仙さんをはじめ計十三人。人権小委終了後も、ジュネーブの国連欧州本部では21日に「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約、社会権規約)」の順守状況に関する対日本政府審査が行われる予定で、一部のメンバーは残って活動を続けている。

 人権小委では8日、6月に行われた人権協会第4回総会で新たに副会長に就任した白盛基・群馬教育会会長が発言した。

 白副会長は、朝鮮学校をはじめ日本における外国人学校の概要について説明したのち、「日本政府による在日朝鮮人の教育に対する一貫した政策は、日本学校で日本人になるための教育を受けるならば、(大学などの)受験資格や教育援助を日本人と同じに与えるが、朝鮮人としての民族性を育むための朝鮮学校の教育に対しては徹底的に差別し、不利な条件に置くというものである」と述べた。

 そしてこれは、民族文化の維持継続への権利を否定していることであり、旧植民地被害者とその子孫への原状回復の義務という観点から見ても、人権に関する各国際条約違反だと強調。98年の子どもの権利委員会と自由権規約委員会、今年3月の人種差別撤廃委員会など、国連の各種人権条約機関が日本政府に対し、朝鮮学校・民族教育への差別を是正するよう勧告したことに触れ、人権小委が、日本政府がこうした勧告にもとづいて朝鮮学校への差別的な処遇を改善するための対応を取るよう促し、人権小委の特別報告者が被害者の歴史的経緯と問題解決の緊急性を考慮し、この問題を緊急に調査するよう要請した。

 白副会長は「朝鮮学校をこれからも存続させ、発展させていくためには安定した運営が欠かせない。しかし例えば群馬の場合、県から支給される補助金は日本の私立学校の5分の1ほどであり、公立学校に比べると10分の1にもならない。非専従で教育会会長の仕事をしながら、朝鮮学校に対する日本政府の不条理な処遇に憤りを感じる日々だ。日頃から群馬県や市などに対しては働きかけているが、今回は国際社会に向けてアピールできてよかったと思う。同時に今回の活動は、その成果を日本に持ち帰ってさらに運動を広げていくためのものでもある。今後も取り組みを続けたい」と話す。

 白副会長をはじめ、今回群馬県から人権小委に参加した3人は6日、群馬県庁を訪れて高山昇副知事に出発前の報告をし、県の協力を求めた。高山副知事は一定の理解を示し、「国際社会の反応を聞かせてください」と激励した。

継続的に代表派遣

 国連は、1948年に採択した世界人権宣言が示した国際人権基準が、各国内できちんと実現されているかどうかチェックするためのシステムを持つ。46年、国連経済社会理事会に設置された人権委員会の活動を援助するため、翌年の47年に設置されたのが人権促進保護小委員会(当時は差別防止・少数者保護小委員会)である。

 人権委は50余ヵ国の代表によって構成され、人権の促進や保護のための活動を行っている。通報にもとづき、特定国の人権侵害状況を調査したり、重大な人権侵害については被害者の救済のために活動する。

 人権委の下に設けられた人権小委は個人資格の26人の委員により構成され、各国の人権状況について公開審議を行ったり通報を直接審査する。公開審議には、委員のほかにオブザーバーとして当該政府代表、NGO、他の国連機関の代表も対等の資格で出席し、発言できる。

 国連の場での働きかけを84年から開始した総聯は、92年の第44会期以来、継続的に人権小委に代表を送り、民族教育権の保障をはじめ在日同胞の人権状況の改善を図るため、日本政府の差別政策の不当性を明らかにしてきた。

 子どもの権利委員会や自由権規約委員会、人種差別撤廃委員会などの条約審査機関が日本政府に対し、朝鮮学校差別を是正するよう相次いで勧告したのも、総聯代表が人権小委など国連の場で地道な活動を継続してきた成果だと言えよう。
(在日本朝鮮人人権協会・金東鶴)

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