私たちのうた

朴浩烈


青唐辛子

 畑でない畑
 手のひらほどの狭い前庭に
 青く実った
 小さな唐辛子

 きちんと並んだ枝振りが
 あまりにもかわいらしくて
 私は今日も
 お前とささやきあう

 見慣れた土地に育ち
 静かに微笑をたたえるよう
 銀の朝露に目を覚まし
 大きなあくびをしているよう

 「朝鮮で食べた唐辛子の味が
 忘れられんな…」
 ある日の朝
 故郷を思い、もらしたアボジのあの一言が
 よみがえる

 いとしい故郷の山河に
 涙で別れを告げたアボジ
 村の朝霧、土の香…
 今日も忘れられず
 遠く去った過ぎし日を呼び戻すかのように

 青唐辛子よ
 お前を懐かしい故郷と思い
 狭い前庭に植えたその気持ち
 明日には
 遠い故郷の地リョンナムに
 赤く赤く実らせたいと願う
 アボジのその気持ち
 黙ってただ風に揺られるお前も
 深く深く分かっているのだろう

 パク・ホリョル  1963年生まれ。朝大文学部卒。東京朝高、朝大文学部教員を経て、現群馬初中教務主任。この詩は朝大在学時の詩集「プッコチュ」より抜粋。(訳・全佳姫)

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