生花のまま2〜3年 ブーケの商品化に成功

フラワーショップ「moa(モア)」フラワーショップ「moa(モア)」

李春子さん


 愛知県豊田市内に、8年前オープンしたフラワーショップ「moa(モア)」。店長の李春子さん(52)は花を売るだけでなく、「アトリエ・工房のような店にしたい」と、アレンジメント教室やブライダルブーケ作りにも力を注いできた。とくにブーケは昨年、2〜3年は生花そのままの美しさを維持できる商品開発に成功した。現在、特許を申請中だ。

口コミで広がる

 現在、同店で人気の高いブーケは、5年前に開講したフラワーアレンジメント教室の受講生や、それ以前から付き合いのある知人らの口コミで、注文が殺到するようになった。

 季節感ある生花を、花嫁だけでなく花婿の衣装をふまえて、上品でおとなしめにコーディネートするのが李さんの特徴。

 李さんの真心こもった手作りブーケは、「華やかな美しさ」を強調するだけではなく、花嫁のドレスをさらに美しく見せる引き立て役になる、と評判になった。

 長持ちするブーケを考案しようと思ったのは、一生の思い出に、とドライフラワーやプレスブーケ(押し花)にして残そうとする女性が多いからだ。

 一昨年から研究を始めた。試行錯誤を重ねたすえ、昨年、生花に独自の特殊加工をほどこし、2〜3年は生花となんらかわりない状態を保てる製品の開発に成功。そして特許を申請した。

 新郎、新婦の夢がいっぱいつまったブーケをブランディングし、東京にも進出したいと「自分の夢」を膨らませる。

プレゼントに活用

 店内で始めた教室には現在、50人ほどが通う。李さんはフラワーアレンジメントだけでなく、押し花や染め花なども教えている。

 授業は週に3回、午後5時から8時まで行っており、20〜40代のOLや主婦が大半だ。

 完成品は、各種記念日などのプレゼントや、家の装飾品として使用されているという。

 教室開講を思い立ったのは、枯れ始めた花を捨てるのではなく、アレンジメントの技術を生かしてなんとか再生できないものかと思ったからだ。

 李さんが花屋の経営に乗り出したのは、20年前、フラワーアレンジメントの教室に5年間通ったのがきっかけだった。トーク番組の出演者の後ろに飾られたゴージャスな花を見て、「こんな風に花を生けられたら」と、教室に通い始めた。結婚して7年目のことである。

 当時、地元には教室がなく、大阪にある学校まで月1回、新幹線で通った。授業は週に1回だったが、交通費と時間を節約するため、4回分の授業を月1回にしてもらった。

 そして技術を高め、8年前に店をオープン。当初、売れ行きは伸び悩んだが、店に力をつけるためにも、知人などを介して自分がアレンジした花を、飲食店などの各種店舗にどんどんディスプレイしてもらった。同胞が営むパチンコ店に景品として造花を卸したり、店内の装飾も手掛けたという。

 また現在、市内のデパートでは、李さん特製の正月用品が販売されている。クリスマスリースをイメージしたしめ縄だ。最近、少しずつ売れ出しているという。

 店内は、ヘデラ、プミラ、アイランサス、バンプーなどの観葉植物が豊富にそろい緑豊かだ。その合間合間にアロマキャンドルやフォトフレーム、ステンドグラス、鉢、しおりなどの雑貨用品が置かれている。

 「主婦は、仕事と家庭業を両立させなければならないので、なかなか経営だけに集中できない。でもそれでいいと自分に言い聞かせ、経営が苦しくて頭が痛いときがあっても『ま、いっか』と前向きでいるように心がけています。とにかく、自分のブランドができるまでがんばります」と李さんは意欲的に語る。

 店は今後、客がコーヒータイムを楽しめるような安らぎの空間にしていきたいという。(李賢順記者)

 「moa」…愛知県豊田市覚新町3―72、TEL  0565・24・3518。午前10時から午後7時まで営業、火休。

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