みんなの健康Q&A
夏の皮膚病(上) とびひ
毎日入浴して肌を清潔に、早めに治療
Q 夏になると皮膚病が多くなるのはどうしてでしょう。
A 夏は皮膚を露出する部分が多くなり外界の刺激にさらされやすくなります。人間の活動も活発になりますが皮膚病の原因となる細菌やウィルス、その他の小動物にとっても活動しやすい季節でもあります。また、人間の皮膚は汗により湿気が多くなりいろいろな原因で免疫力も低下しているので汚染されやすく、これらの病原菌が増殖しやすい環境となります。病原菌は皮膚表面に湿疹や外傷などの傷があるとそこから侵入し感染やアレルギー反応を起こしやすくなります。また、夏の日光は強い紫外線を持っているので長時間浴びることにより、いろいろの皮膚症状が生じます。 Q どのような皮膚病が多いのですか。 A 子供ではとびひ(伝染性膿痂疹)が最も多く、湿疹、アトピー皮膚炎、水いぼ(伝染性軟属腫)も増悪がみられます。大人では水虫(足白癬)や爪白癬が急増し、昆虫や草木または薬剤によるかぶれ(接触性皮膚炎)も多く見られるようになります。 また紫外線が強くなるため、日焼けやその後に生じる色素沈着や、皮膚の前癌症状を心配される方が目立ちます。 Q 子供に多いとびひとはどのような皮膚病ですか、また夏に多いのはなぜでしょう。 A 夏は直射日光の下で、汗をかいたり水を浴びたりするので、どうしても子供たちの皮膚が不潔になりがちで抵抗力もおちます。また、すりきずや虫さされの機会もふえます。 そこをねらっているのが、「とびひ」です。子どもに多い皮膚病で、水ぶくれになったり、かさぶたをつくったりして広がります。 原因のひとつのぶどう球菌は、日常生活のどこにでもいるものですが、かききずやすりきずをそのままにし、不潔にしていると皮膚表面の菌の数が増えて化膿させてしまいます。 アトピー皮膚炎や虫さされがあると、かきやぶった傷から、ブドウ球菌が感染しとびひになりやすくなります。またアトピー皮膚炎もブドウ球菌により増悪すると言われています。 Q 治療はどのようにしたらよいでしょう。 A とびひの治療は他の皮膚病がなく、とびひが1〜2ヵ所の場合は消毒液を塗布し、乾燥させたりガーゼで被うなどしてほかへの感染を防ぐ事で治ります。とびひにステロイドは塗布も内服も禁物です。アトピー皮膚炎や虫さされと合併している場合のみ消毒液を塗布した後にステロイドを塗布することもあります。とびひが広範囲に生じた場合は抗生剤の内服が必要です。アトピー皮膚炎にとびひが加わったり、黄色ブドウ球菌が感染によりびらんし膿がついたりし、重症化した場合は必ず専門医を受診しましょう。 Q とびびにならないようにするためには、どうしたらよいでしょう。 A 毎日入浴して肌を清潔に保つ事が大切な予防法です。入浴時は肌を刺激しないように優しく洗い石鹸はよく流しておきましょう。衣服などでこすれる部分がとびひになりやすいので、衣類は吸湿性の良い木綿などの素材で縫い目などの刺激の少ないものを身に付けると良いでしょう。アトピー皮膚炎や湿疹、虫さされは早目に治療してかきやぶらないようにしておきましょう。 「とびひ予防は毎日入浴(清潔にしておきましょう)」 「虫さされやかゆい皮疹は早目に治療しておきましょう」 朴花子(医学博士) |